森山開次がダンスで綴る『星の王子さま』。大好評に応えて再演 ユニークなダンサー達が、サン=テグジュペリの世界を創り上げる

 サン=テグジュペリの『星の王子さま』は世界中で読まれているベストセラーだが、この物語を“ダンス”に翻訳した作品が、2020年秋にKAAT神奈川芸術劇場で上演された。手がけたのは我が国を代表するダンサーで振付家の森山開次。様々なスタイルのダンサー達が身体で綴る『星の王子さま』は大きな反響を呼び、2023年の再演が決定した。

 「初演からあまり時を経たずして再演が決まりましたが、コロナ禍の最中に色々な制限の中で、全てのスタッフが大変な思いをしながら良い作品を目指して力を合わせて創った作品ですから、このタイミングで出来る事は嬉しいです」

 今回のキャストは森山の他7人が前回に引き続き出演。5人のダンサーが新たに参加することになる。

 「前回も素晴らしいメンバーが揃っていたのですが、再演となるとスケジュールの問題もあり、全く同じメンバーでということは難しいですし、メンバーが変わる事への覚悟は出来ています。そして新しい風を吹きこんでくれるメンバーがいることは望ましいことでもあります。新しい刺激を感じつつ1からクリエイションする想いです」

 今回も初演時を越える、多彩でユニークなダンサーが集められた。

 「ジャンルには拘らず、作品にフィットする人を選びましたが、それぞれに僕が惚れ込んだ人であることは間違いありません。王子をやってもらうアオイさんは、なんだか昔の自分を見ているようです。表現したい想いが全開で、その純粋な気持ちに惹かれて、お客さんにもそういう王子をみせたくてお願いしました」

 さらに舞台を創り上げるスタッフも、美術の日比野克彦や衣裳のひびのこづえ。音楽の阿部海太郎。そして歌で参加する坂本美雨など、飛切りのクリエイターが参加している。

 「絶大な信頼を寄せるスタッフです。日比野さんには美術を初めてお願いしました。元々僕は奥様でもあるひびのこづえさんと長く仕事をしているので、ここは日比野夫妻で創るのも楽しいだろうなと(笑)。阿部さんや坂本さんもずっとやりたかった人達です。坂本さんの歌声は風や泉、薔薇の笑い声に聞こえるんです」

 再演とはいえ、間違いなくまた新たな『星の王子さま』が生まれるに違いない。

 「旅をする機会が減ってしまった昨今ですが、是非劇場に来てもらって、旅をしたような感覚になってもらえれば嬉しいです」

(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)

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「僕はあまり物欲がないので、一人暮らしの父や家族に渡します。喜んで使ってもらえれば幸せです。でも、せっかくだから、家族でちょこっと遠めの旅行ぐらいはしたいですね」

プロフィール

森山開次(もりやま・かいじ)
神奈川県出身。21歳でダンスを始め、2001年エディンバラフェスティバルにて「今年最も才能あるダンサーの1人」と評された後、自ら演出振付出演するダンス作品の発表を開始。ダンサーとして各国のフェスティバル・ミュージカル・演劇・映像作品など様々な出演を重ねる傍ら、近年ではオペラ・バレエの演出振付も手がける。TOKYO2020パラリンピックの開会式では演出・チーフ振付を務めた。

公演情報

KAAT DANCE SERIES 星の王子さま サン=テグジュペリからの手紙

日:2023年1月21日(土)~29日(日)
場:KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
料:S席5,900円 A席3,900円 ※他、各種割引あり。詳細は公演HPにて(全席指定・税込)
HP:https://www.kaat.jp/
問:チケットかながわ tel.0570-015-415(10:00~18:00)

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