“非対面芝居”がさらに進化! 濃密な会話サスペンス リモート取材の裏に隠された17年前の未解決事件。衝撃のラストは必見!

―――本作への出演について、また台本を読んだ印象をお聞かせください。

古林「前作『GEPPETTO』は、コロナ禍を受けて極力、役者同士の接触を減らした二人芝居という形でおこない、非常に良い反応を頂くことができました。自分が演じたゼペットの一人芝居とゲスト陣演じるピノキオによる朗読劇の掛け合いは画期的な形式だったと思います。
 『GEPPETTO』で脚本と演出を手掛けた伊藤裕一が、この2人の対話に加えて、第3のノイズのような存在を介入させたらどうなるのか?という理由から今回の三人芝居へと結びつきました。『GEPPETTO』の上映会イベントで、伊藤からお客様に『次回作は図形と時間の話になります』と伝えられており、僕もそこに本作の秘密が隠されているような気がします。脚本を読んだ印象としては、サスペンスものですね。
 一方で演じる役者側もかなりの技量が求められると感じました。僕自身が、サスペンス系の映画や小説が大好きで、伊藤の執筆段階からも『ここをもっとこうしたら面白くなるかも?』と率直に意見を出した結果、いくつかが反映された部分もあるので、非常に気持ちがこもった作品になっています。
 今回演じる作家の上川大也は多くの謎を抱えた人物で、劇中でも多分に嘘をつくことが予想されます。サスペンス作品は、謎解きや真実が明かされた時の衝撃が1つのハイライトではありますが、なぜその人物がその真相を隠すことになったのか? またその真相を隠している時の心情はどうだったのか?といった推察や、真実が明かされたのちの感情の揺らぎなども大きな見どころだと思っています。ですので、お客様には、謎が解き明かされたあとの登場人物達がどんな発言をするのか、また台詞以外の行間や、しぐさ、息遣い、舞台の音などにも注目して頂き、舞台の帰り道に容易に言葉にならない感想を持ち帰ってもらえたら嬉しいです。その意味では、お客様のお土産になるような嘘をつきたいですね(笑)」

―――古林さんご自身は嘘をつくことに抵抗はありますか?

古林「僕は実はマジシャンをやっているので、ある意味、人をだましながら生きていているようなものです(笑)」

一同「(笑)」

古林「でも普段のマジックステージでは1人で秘密を抱えて、その秘密がお客様に見えないように終えるのですが、今回の舞台では3人の役者に加えて、演出や舞台など大人数で秘密を仕掛けるので、みんなで一緒にドッキリをするという楽しみはありますね」

宮森「お座敷コブラさんは、三部作公演『RUN』のVer.2.0と3.0に出させて頂きました。その時の公演はアンサンブルの方を含めるとかなりの大所帯で、今回とは真逆。セット2階建て! しかも動く! キャラ多い! みたいな感じですごく緊張したのですが、伊藤さん、古林さん始め、皆さん温かく迎えて頂いたので、お芝居しやすい環境を作って頂きました。
 私自身、2年ぶりのお芝居になりますが、リモートで稽古と聞いて、こんな時代になったのか!?という隔世の感はありますが、作中でもリモートインタビューの設定があるので、重なる部分はありますね。
 私が演じる新人ライターの山口弓は上川の新作のプロモーションインタビューを担当するのですが、リモートというパソコン画面の枠外で起きる物音や動きをきっかけに、対話の中でほころびを見せ始める上川の過去と嘘がどのようにストーリーを進めていくのか。私が演じる山口の疑問が、同時にお客様が思っている疑問と重なればいいなと思います。とても重要な役なので今から緊張しています」

岡田「今回、初めてお座敷コブラさんに出演させて頂くのですが、私に声がかかった1つの理由として、『生活感のない女の子』というのがあったそうです。はい、いかにも料理しなさそうな女子ですと(笑)。でも3ヶ月前には製本された台本が送られてきて、これはすごいきちんとした団体さんなので、私も一層頑張らないとなという気合が入りました。
 本作には小説の物語を読んでいるかのような印象を持ちました。前作の『GEPPETTO』を観て面白いと思ったのは、視覚的な効果。今回もリモート画面の四角や、題名にもなっている三角形が描かれていて、それが照明や音響と合わさり、作中でどのように立体化されるのかに注目しています。
 私が演じる謎の少女、夕女(ゆめ)は、リモートインタビューの枠外でのノイズとして描かれます。衣擦れや足音1つで2人の芝居がどのように変化していくのか。今から楽しみで仕方がありません。でも夕女だけに意識を引っ張られていると、足元をすくわれますよ。もしかしたら登場する3人全てに謎があるかもしれません……」

―――演じる上で特に意識したいことはありますか?

岡田「私は前半、台詞のない時間が多いのですが、舞台上には存在していて、その存在の仕方が登場する度に違いをもたせることに意識をしてみようと思います。ここでは物語の核に関わっていくので多くは語れませんが、刻一刻と変化を見せる音や表情を通して、お客様に何かを感じ取ってもらえるように演じたいです」

宮森「私はリモートインタビューの枠内という制限の中で、川上の嘘と夕女が出すノイズをどう受け止めるかに集中しています。3人が三角形を織りなす頂点だとすれば、物語の展開の中で、トライアングルの形が変化していっても良いと思うのです。きっと全の公演で、その形は違ってくると思います。それが楽しみであり、不安でもあり、挑戦でもありますね」

古林「今回は『Pascal』『Tartaglia』の2チームに分けて、逆班の『Tartaglia』には前作の『GEPPETTO』で好演を見せた梶原航さんを筆頭に、かとう唯さん、今村美歩さんがチームを組みます。僕達が挑戦しなければならないことは、稽古を重ねて毎回、同じ形や流れになるという表層的なものを創っていくのではなく、何が起きてもこの物語の核となる部分がぶれないようにする。自分の内側の何かを稽古で創っていく必要があると思います。そこが出来れば、どんな状況でも、その役が担うポジションを確保しつつ、多彩なお芝居ができるんじゃないかと。だから公演ごとに三角形の形が違っていたとしても、3つの点と線がしっかり繋がっていれば、本作が伝えたいものや、お客様に持ち帰って頂く核をお届けできるはず。そしてその核は稽古の中でしか創り上げることができない。だからこそ、僕らにとっての勝負はすでに始まっていると言えますね」

―――最後に読者にメッセージをお願いします。

岡田「本作は私達、役者が舞台の上で生きているという姿をより強くお届けできるのではないかと思います。わずかな動き、目線の置き方、行間の芝居などでお客様に持ち帰って頂くものが変わってしまうので、共演するお二人が発するものにきちんと呼応できるように丁寧に演じていきたいです」

宮森「お座敷コブラさんで舞台に復帰できることが非常に嬉しく思います。個人的な事ですが、舞台『RUN』の本番15分前に父を亡くしまして、その中で2ステージをやり遂げることができたのも、皆さんの心身に渡るサポートがあったからこそです。私の中では家族以上に信頼を置ける団体さんであり、大切な場所。その感謝の気持ちを倍以上にお返ししたいです。是非、皆さんに会場にいらして頂ければ嬉しいです」

古林「このご時世にお芝居ができることと、公演を楽しみに待って下さる多くのお客様の期待の声に感謝しつつ、その感謝を熱量に変えて公演に取り組みます。多くの嘘と謎が交錯する舞台ですが、真実の先や裏、またその過去にいったい何があったのか。その時の気持ちはどうだったのかという部分に是非注目してください。言葉にできない部分を感じ取ってもらい、帰り道に〇でも×でもない、△の魅力を改めて考えていただけたらと思います。また、音楽はエンタメジャズバンド『Calmera』のピアノ、キーボード奏者のPAKshinさんが担当します。なんでも音楽の中にもトライアングルが隠されているとか!? 見どころが多い作品です。皆様のご来場をお待ちしております!」

プロフィール

宮森セーラ(みやもり・せーら)
1986年5月7日生まれ。主な出演作に、日本テレビ2020年1月期連続ドラマ『トップナイフ』、舞台『惨劇 RoopeR -Be Playing Stage Game-』、「モヤモヤさまぁ~ず2」配信オリジナル「ムチムチさまぁ~ず3」初代べストオブムチムチなど。バラエティー番組・ラジオ・舞台・ドラマと幅広いジャンルで活動中。お座敷コブラ作品では、『RUN』シリーズにて異なる2役を演じ切り、存在感を見せた。

岡田彩花(おかだ・あやか)
1993年11月8日生まれ。あだ名は”あやかんぬ”。元々黒髪すっぴん眼鏡で大学に通っていたが、ヘアモデルをきっかけにミス成蹊コンテスト2014へ出場。グランプリを獲得し、その後芸能活動を開始。現在は女優業を中心に、ラジオのレポーターなどを務める。主な出演作に、映画『龍帝外伝《最終章》』主演 北条綾香役、ラジオNACK5「DREAM CARAVAN(GOGOMONZ内)」レポーター、歌と朗読『艶姿純情BOY』(原作:藤沢とおる)主演 茜屋純役などがある。

古林一誠(こばやし・いっせい)
1981年4月29日生まれ。お座敷コブラ旗揚げメンバーであり、代表の伊藤裕一とは大学時代に演劇サークルで出会う。旗揚げ時よりお座敷コブラ作品に出演し、常に作品の中心を担う。つかみどころのない人物像、落ち着きのある声などでお客様の心を掴む。幼少期からマジックを学び、ソロマジックショー等も行っている。近年では、ワンシチュエーションコメディ劇団 東京MTや劇団わたあめ工場、TEAM風雷Bowなどの客演でその実力を多分に発揮している。前作『GEPPETTO』で主演・ゼペットを演じ、6名の俳優と日替わりでのセッションを見事演じきった。

公演情報

お座敷コブラ 14畳目公演
『TRIANGLE』

日:2022年11月30日(水)~12月4日(日)
場:溝ノ口劇場
料:6,000円(全席指定・税込)
HP:https://ozashikikobura.jimdofree.com/
問:お座敷コブラ
  mail:ticket.ozashikikobura@gmail.com

インタビューカテゴリの最新記事