モーツァルトの大傑作と共に、3年ぶりの引越し公演が実現 オペラファン必見、栄光の歌劇場が今また私達の前に!

 コロナ禍で久しく行われていなかった海外アーティストの来日公演が少しずつ復活する中、約3年ぶりに開催されるオペラ引越し公演として注目したいのが、11月に行われるハンガリー国立歌劇場の『魔笛』だ。ウィーン国立歌劇場と並び称される名門で、数々の名オペラ歌手を輩出している栄光の歌劇場が、同劇場の代表作『魔笛』と共にやって来る。

 パミーナ役を務めるのは、世界最高峰の劇場でキャリアを積み、日本でも人気の高いアンドレア・ロスト。劇場で『魔笛』を観る前からパミーナを演じていたという彼女にとって、運命的な役柄と言っていいだろう。

 「さらにその前、イングマール・ベルイマンが監督した1976年の映画版は数えきれないほど観ています。ですから、オリジナルのドイツ語の台本よりも、先にスウェーデン語で鑑賞していたことになりますね。ハンガリー語よりも先です。この映画は本当に素晴らしく、魅了されました」

 モーツァルト5大オペラの筆頭格である『魔笛』について、彼女は「物語が持つおとぎ話のような性質が、深いメッセージを伝えてくれる」と語る。

 「それぞれのキャラクターが明確に理解できる……それはまるで魔法のようだと思います。さらに、人間性への批評的な性格や公正さ、高尚さ、ユーモアも含まれていますね」

 これまでに何度もパミーナを演じてきた彼女。そして今も進化を続けているという。

 「より幻想的に、ピアノ(弱く)でこの役を描くように表現しています。最近スコアで発見した微妙な違いで、1995年の録音と聴き比べてもほとんど気が付かないようなものですが……。このような“発見”が嬉しいのは、レガートの縛りが柔軟になったことですね」


 ハンガリー国立歌劇場は、彼女が学生としてオペラを学び、オペラデビューした場所でもある。

 「私はブダペスト生まれなので、ハンガリー国立歌劇場は私にとってハンガリーオペラの神殿です。ハンガリーの素晴らしい先人達や、海外の優れたスターたちがこの舞台で歌っています。優れた指揮者・演出家・演奏家・舞踏家の才能が、この劇場の水準を高めてきたのです。ハンガリー人オペラ歌手として歌えることは、とても気分が高揚します!」

 きっと、来日を待ち侘びた観客も同じ気持ちだろう。この秋の目玉公演をお見逃しなく。

 「ぜひとも、天才たちの奏でる音楽を堪能してください!」

(取材・文:西本 勲)

プロフィール

アンドレア・ロスト
ハンガリー・ブダペスト生まれ。リスト音楽院を修了後、ハンガリー国立歌劇場の奨学生となり、1989年にグノー『ロメオとジュリエット』にて同歌劇場でオペラ・デビューを果たす。1991年にはソリストとしてウィーン国立歌劇場と専属契約を結び、『ランメルモールのルチア』など数々の作品で大絶賛を受ける。1994年にはリッカルド・ムーティに招かれ、スカラ座での『リゴレット』初演に参加し世界的な成功を収める。メトロポリタン歌劇場デビューのほか、ロイヤル・オペラ・ハウス、パリ・オペラバスティーユなど世界最高峰の劇場に客演を重ね、名実ともに世界を代表するソプラノとして不動の地位を確立。スカラ座、ハンガリー国立歌劇場の日本公演などで度々来日し、日本でも高い人気と知名度を誇っている。

公演情報

ハンガリー国立歌劇場 魔笛

日:2022年11月5日(土)・6日(日)
場:東京文化会館 大ホール
料:S席24,000円 A席19,000円 B席15,000円
  C席12,000円 D席8,000円(全席指定・税込)
HP:https://concertdoors.com/
問:コンサート・ドアーズ tel.03-3544-4577(平日10:00~18:00)

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