10人の女優達が歌い、踊り、そして演じる。最高の演劇レヴューショウ! beansは「笑い」をテーマに、赤坂レッドで所狭しと彩り豊かな個性が爆発する!

 「エンタメ界には実にたくさんの女優がいるが、その中から飛切りを集めて、歌やダンスも加えたレビューを観てみたい」誰もが心のどこかにそんな欲求を秘めているのではなかろうか。
 そういった想いは作り手も同じことだが、長いキャリアを通して数多くの舞台に携わり、近年だと『バクステ』、『5years after』、『画狂人 北斎』、『蜜蜂のクビレ』、『ガリレオ★CV』など注目すべき作品を次々に送りだしている難波利幸はこれまでにもそういったアイデアを実現し続けてきた。
 その経験をもとに今回はキャリアも世代も違う10人の女優を面談オーディションで選び「女優による演劇レビューショウ!」を看板に掲げて『abc◇赤坂ビーンズクラブ』を立ち上げる。もちろんこうした企画にはさらに優秀なスタッフが必要で、ここが成否の境目となるが、特にショウの中核を成す歌とダンスについては重要なポイントだ。そこで難波は自身が絶大な信頼を寄せるボイストレーナーの漣さや香とダンサー・振付師の木野村温子に声をかけた。今回は『abc◇赤坂ビーンズクラブ』の作り手であるこの3人に話を聞いた。


―――まず、一体どんな舞台になるのかを教えてください。

難波「面談オーディションで集まってくれた10名の女優が、芝居やコントだけでなく歌って踊って……そんなレビューショウです。タイトルの“abc”は“赤坂・ビーンズ・クラブ”の頭文字ですが、もう1つ“アヴァンギャルド”、“ベイシック”、“コケティッシュ”の頭文字でもあるんです」

―――舞台に立つのは面談オーディションを通過した10名ということですね。

難波「10代から30代と世代もバラバラですし、キャリアも様々ですからどうしてもこのふたりの力が必要でした。もう2月から徐々に稽古を進めています」

―――そんなメンバーを前にした、おふたりの印象を聞かせてください。

漣「とても個性豊かなメンバーが揃っているので、あまり型にはまった歌い方ではなく、それぞれの個性が爆発するように、自由な部分を引き出していきたいと思います」

木野村「ダンスも同じです。経験の有無やセンスもあるけれど単に上手い下手ではなくて、個性を身体で表現してほしい。ダンスには言葉がないからこそ、それが大切なんです。ジャンルもいろいろなものを入れましたから、彼女たちにはチャレンジな部分があると思います。でもそれを乗り越えたときに見えてくる新しい自分を楽しんでもらいたいですね」

難波「どうしてもふたりの力が必要だったと言ったのは、オーディションといっても歌やダンスを中心に選んだわけではなく面談で意識の高い人、『abc◇赤坂ビーンズクラブ』に参加したいという意欲の高い人をキャスティングさせていただいたので、その部分はすごく迷惑をかけているなと(笑)」

―――そんなプロデューサーに不満はないですか?

木野村「エーッ、どんな質問?(笑)」

漣「でも私を発掘してくれたのは難波さんですから。(モエヤンの)相方に出会ったのも難波さんが仕掛けた『東京メッツ』だし、もう長い付き合いですから、大体考えていることがわかるので大丈夫ですね」

木野村「私もはじめて会ったのが難波さんの『メモリーズ』という舞台で、私は振付担当だった師匠である森新吾さんのアシスタントでした。まだ18歳で何もわからないころで。それから裏方として参加しているうちに『お前、面白いから舞台でぇへんか?』と言われて(笑)。それで『abc☆赤坂ボーイズキャバレー』とか『コントンクラブ』に出演するようになったんです。だから私も発掘してくれたのは難波さんですよ」

難波「このふたりになら預けて安心、という信頼度が高いのと、僕が何をやりたいかという根本の気持ちを汲んだ上で、自由にやってくれる。そういった人は少ないです。そもそも赤坂RED/THEATERという小さな劇場での公演ですから、キャストは気持ちまで丸見えになってしまいます。だからこそ、その“気持ち”を育ててくれるふたりが必要なんです。逆に言えばゼロからのオリジナルレヴューを作るという無謀な沙汰に本気で付き合ってくれるのはこのふたりしかいないというか(笑)」

―――最後に作り手側からのメッセージをいただけますか。

漣「私はエンターテインメントの世界でしか生きてきていないのですが、ライブほど楽しいものはないと思います。ライブは最高のエンタメです。そしてこの10名の才能がエネルギーと夢をもって舞台に立つのを観れば、きっと大きなエネルギーをもらえると思うんです。だから是非劇場でご覧いただきたいですね」

木野村「すごく伸びしろがあるメンバーが揃っていますし、2月からの稽古を見ているとみんな和気あいあいと、お互いに助け合いながら常に成長しています。ダンスって人の心を動かすものですし、観る人の心も動かしますから、難しく考えずに観る人の活力になれるよう、そんな振付を心がけたいです」

難波「仕事柄、いろいろな舞台作品を拝見するのですが、裏方の主張が強いものが結構あって辟易とすることがあります。観ている最中に裏方の能書きはどうでもよくて、いかに舞台上の役者が立っているか。『abc♢赤坂ビーンズクラブ』は10名の女優がそれぞれ光るものをつくりたいです。それが実現できるメンバーですし、そのために必死で構成や演出も考えます。そして今回は、素晴らしいスタッフが集まってくださいました。『バカみたいなことをプロが必死でやればそれはエンタテインメントになる』そして、観ていただいた後に役者の印象がみなさんに残ればいいですね」

(取材・文:渡部晋也 撮影:山本一人[平賀スクエア])

プロフィール

漣さや香(さざなみ・さやか)
大阪府出身。子供の頃からマイケル・ジャクソンやモータウンに親しみ、アジアボーカリストオーディションに合格したことをきっかけに上京する。ゲームの主題歌他で活躍する。2003年からはミュージカル集団「東京メッツ」に参加し、そこで知り合った池辺愛とお笑いコンビ“モエヤン”を結成。全身タイツという出で立ちと、耳に残るフレーズで大人気を獲得する。解散後、一時芸能活動を休止するが、ボイストレーナーとして活動を再開する。

木野村温子(きのむら・あつこ)
幼少から様々なダンスを学び、バレエからストリートまで踊れるオールラウンドダンサーとして活躍。IDO WORLD HIP HOP CUPSに初の日本代表選手として出場。また『コントンクラブ』、『早乙女太一 final tour』、『ダンスカンタービレ』、『abc★赤坂ボーイズキャバレー Spin Off』などの作品に出演。さらにDIAMOND☆DOGSで活躍した森新吾の助手として振付を手がけ、振付師として独立。数多くの舞台で振付を手がけている。

難波利幸(なんば・としゆき)
大阪府出身。演劇プロデューサーとして数多くの作品を手がけ、「南鳩史之(みなみばと・ふみゆき)」名義では演出、作詞、作曲も手掛ける。主な作品は、girls musical team「東京メッツ」、『bambino.』、『メモリーズ』、『abc★赤坂ボーイズキャバレー』『コントンクラブ』、独立後はエヌオーフォー作品として、ミュージカル『手紙』、『トリスケリオンの靴音』、『バクステ』、『古~inishie~』、『画狂人 北斎』、『蜜蜂のクビレ』、『5 years after』『ガリレオ★CV』等。

公演情報

エヌオーフォー【No.4】『abc◇赤坂ビーンズクラブ』

日:2022年7月7日(木)~18日(月・祝)
場:赤坂RED/THEATER
料:一般6,500円 U-25[25歳以下・引換券]4,500円 ※枚数限定/要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:https://no-4.biz/abc_beans/
問:エヌオーフォー【NO.4】 mail:info@no-4.biz

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