ある田舎町で繰り広げられる、父娘の“ODD STORY” 二転三転、誰も読めない展開に期待! 俳優・磯貝龍乎による初のプロデュース公演

俳優として活躍し、脚本家・演出家としても手腕を発揮してきた磯貝龍乎。自身初のプロデュース公演『SHAPE』が2022年6月、上演される。舞台は、ある小さな田舎町。どこにでもいる幸せそうな親子。しかし、そこには明らかな違和感が。その娘は「人形」なのか――?
 今回、脚本と演出を担当する磯貝のほか、出演する山沖勇輝、山田ジェームス武に意気込みを聞いた。

 ――― 今回はどういうお話なのでしょうか。

磯貝「ストレートで、ふざけなしです」

山田「ふざけているのは、キャスティングぐらいですよね(笑)」

磯貝「そうね、キャスティングはボケていると思う(笑)」

山沖「なんでよ(笑)!」

磯貝「話は、ふざけなしのサスペンス。話が三転します。こうだと思っていたら、こうで、こうだと思っていたら、こうで……と」

山田「めっちゃ好き! そういう展開!」

磯貝「本当に性格に悪い本です(笑)。着想のきっかけは、山沖さんのピュアさ。これを”怖さ”に変えてみたら、どうなるだろうと思って、頭をひねりながら書き始めました。だから当て書きですよ」

山沖「うーん、僕自身は、何も怖い人間ではないんですけどね」

磯貝「そういうのが怖いのよ(笑)」

 ――― 山沖さんは高村浩役。シングルファザーの役だそうですね。

山沖「奥さんを事故で亡くしたシングルファザーです。街のみんなからは愛されているけれど、娘は“人形”……?」

磯貝「そうそう。そこを紐解いていく物語ですよ」

山沖「プロットを読む限り、幸せなお父さんなのかなと思います。子役のWキャストの女性二人(大門杏咲/渡辺心優)と、とにかく仲良くできたらいいなと思います」

磯貝「え、もう狙っているの(笑)?」

山沖「言い方よ(笑)!」

 ――― 山田さんは山下崇役。厳しいが情に厚い、飲食店店長ということですが。

磯貝「加えて、ユキ(大門杏咲/渡辺心優)に異常に優しく、ユイ(田上真里奈)に弱い設定です。まぁ、チャラい店長ということですよ(笑)」

山田「役というより、話が楽しみですよね。周りには“人形”だと分かっているんですよね? それに気づいている人、それをおかしいという人、いろいろいるんだろうし……どんな話になるのか、今から楽しみすぎです。
 僕、デビッド・フィンチャー監督の映画みたいに、“こっちかな?”と思ったら全然違う方向に物語が進むのがすごく好きなんです。今回、出演を決めたのも、龍乎くんが演出していた作品を観た時にすごく“遊ばれた”から。自分もそういう作品に出演したいと思って、楽しみにしているんです」

 ――― 改めて、出演にあたってはどんなお気持ちですか?

山沖「僕らはプライベートでも仲がいいんです。仕事では、ダンスあり、歌ありのミュージカルを多くやってきたんですが、今回はストレートプレイ。どういう風になるのかな」

山田「想像つかないわ」

山沖「でも当て書きですし、“そのまま”でいいのかな」

 ――― 磯貝さんは今までもいろいろと本を書かれたり、演出をされたりしてきましたが、今回が初のプロデュース公演。より一層の覚悟を持たれたということですか。

磯貝「1からの苦しみを味わって、いろいろなプロデューサーの話し相手になれればなと思っております。『分かるよ、分かるよ』と日本一優しい男を目指しております(笑)。全体をしっかりと勉強して、ものを言える立場になりたいなと思ったのでございます。
 まぁプロデュースですが、お金のことは気にせず、素晴らしい作品を残そうと思っています。お金のことは、後々ね。これからも続けていけるように考えないといけないと思いますが、今回はこんなに素晴らしいキャストさんが出てくれるので、そこに全集中して頑張っていきたいと思います」

 ――― それぞれに期待されることは?

磯貝「いや、もう期待しかしていないです。やってくれると思うので、信じている」

山沖「プロデューサーっぽいこと言うな(笑)」

山田「今までの龍乎さんの作品とどういうところが違う? 何かチャレンジするところはありますか?」

磯貝「これまではギミックに頼っていたんですよ。例えば『Another lenz』のときはカメラを使って、生配信に挑戦したりしたんですけど、今回は小細工一切なしの超ストレートなので、不安です(笑)」

 ――― どんな作品になりそうだと思いますか?

山田「僕はストレートもサスペンスものも久しぶり。どんでん返しや掌返されるような展開が大好きなので、それを演じられるのが楽しみです。一方、嘘を嘘として演じてもお客さんは離れてしまうと思うので、しっかり全体を見ながら演じていきたいと思います」

山沖「ジェー(※山田のこと)のストレートのイメージはあまりないよね。どちらかというと、華やかな作品のイメージ」

磯貝「ええ、そう? 舞台『カレイドスコープ-私を殺した人は無罪のまま-』を一緒にやったから、ストレートのイメージがあるな」

山田「むしろ、オッキーにストレートの印象がない!」

山沖「楽しみだね! 僕は龍乎くんの演出も一回受けていますし、彼の支えになれたらいいなと思っています。自分が持っている明るさを全面に出して、現場の雰囲気を良くできたらいいな」

山田「自分自身が苦しまないといいね(笑)」

磯貝「余裕あるな~(笑)」

山沖「今はね(笑)! 龍乎くんは本を書いているとどんどん沈んでいっちゃうんですよ。だからそうならないように、ちょっとでも上がるようにしていきたいですね」

 ――― 最後にファンの皆様にお願いします!

山田「普段2.5次元舞台で、原作があるものを演じることが多いですが、どの作品も“演劇”だし、ストレートだから特別何かが変わるわけでもないと思います。とはいえ、原作ものが好きなお客さんもたくさんいると思っていて、そういう方々に“こういう舞台もあるよ”と、もっともっと好きなものが広がっていくような作品を作っていきたいと思いますね。
 今までの龍乎くんの作品は本当に面白かったし、今回もプロットを見て、絶対面白いと思った。自分たちがしっかり楽しんで、真剣に取り組んで、いい作品を作りたいなと思っています」

山沖「役者を長くやらせてもらっていますが、当て書きをしてもらうこと、そして僕に主演をやってほしいと言ってもらえることがどれだけあるか分からない中で、大好きな龍乎くんがそう言ってくれて、願いを叶えてくださったことにまず感謝します。
 今まで以上に龍乎くんも覚悟を持っているので、僕もちゃんと背負って、作品を完成させて、成功させたいなと思います。お客様に来てもらう以上、損をさせない作品を作りたいと思います。ぜひ劇場まで来ていただけたら嬉しいです!」

磯貝「パンフレットが新しい構造になっていまして、QRコードを使ったパンフレットになっております。QRコードをどんどん使っていこうと思っています。そんな感じに、新しい試み、見せ方、そしてなるべくがちゃがちゃせず、役者たちのテクニックで見せています。
 シンプルに没頭できるような作品を作って、みなさんに見ていただきたいなと思います。『あんな華やかな舞台にいる人が、こんな素敵なシンプルな作品に出て、独自の輝きを醸し出している』。そうみんながツイートできるような作品にしたいと思います」

(取材・文&撮影:五月女菜穂)

プロフィール

山沖勇輝(やまおき・ゆうき)
1991年3月5日生まれ、東京都出身。2002年、舞台『ありがとう、サボテン先生』で俳優としてデビュー。ミュージカル『テニスの王子様』、ミュージカル『ヘタリア』などに出演。近作に舞台『新☆名探偵ポワロ』、『スペースなスペース』、『家族のはなし』など。

山田ジェームス武(やまだ・じぇーむす・たけし)
1990年5月7日生まれ、千葉県出身。ストリートファッション誌『ウルフアッシュ』にてモデルデビュー。メンズエッグモデル「たけぞー」で一躍人気モデルに。2013年映画『新大久保物語』で俳優デビュー。近作に『怪盗探偵山猫 the Stage ~船上の狂想曲~』、『おねがいっパトロンさま! The Stage』など。

磯貝龍乎(いそがい・りゅうこ)
1987年3月14日生まれ、北海道出身。旧芸名は、磯貝龍虎。2008年、ミュージカル『テニスの王子様』でデビュー、以後、俳優として様々な舞台に出演。AD×STAGE『Another lenz』では、脚本と演出を担当し、生配信と生観劇を掛け合わせた別次元舞台を作り上げ、話題を呼んだ。

公演情報

舞台「SHAPE」

日:2022年6月15日(水)~20日(月)
場:新宿シアターモリエール
料:プレミアムチケット[最前列]12,500円
  特典付きチケット9,800円 一般7,500円
  公開ゲネプロ公演5,000円
  ※プレミアム・特典付きチケットは非売品グッズ付(全席指定・税込)
HP:https://www.shape-stage.com/
問:舞台「SHAPE」事務局 mail:cm4.stage@gmail.com

インタビューカテゴリの最新記事