既存の“恋愛”にハマらない男女の関係性を描く 舞台は丘の上の本屋! ロロの最新作『ロマンティックコメディ』

 様々なポップカルチャーを取り込みながら、既存の関係性から外れた男女の出会いを描く作風が支持されている劇団「ロロ」。その新作公演がまもなく上演される。2020年に1度中止となり、2年越しに上演が実現するが、構想はいつからあったのか。主宰・三浦直之に話を聞いた。

 「もともと2020年に完結予定だった、高校演劇のルールに則る演劇『いつ高』シリーズで培ったノウハウを活かして、ロロのフルスケールの作品を作りたい、という想いで出発した作品。コロナで色々な作品が中止になったことでスケジュールは崩れましたが、その時の気持ちはそのまま、心機一転して脚本を書いているところです」

 丘の上の本屋で数年に1度開かれる読書会を舞台にした、『ロマンティックコメディ』はどんな作品になるのだろう。

 「最近ロロは暗い作品が続いたので、今回は自分が1番好きなものを題材にコメディを書きたいと思い、“本”をフィーチャーにしました。“ロマンティックラブ”は恋が成就することがハッピーエンドとして設定されますが、本来“成就”は関係性の始まりでしかなく、その後に一緒に過ごす時間があるわけで、結ばれた男女のその後に“ロマンティックコメディ”を見つけられないかと思って書いています。恋愛にも色々あるし、恋愛に限らない多様な関係性がありますから」

 長く続くコロナ禍で厳しい状況にある演劇界だが、その影響が作品に反映されてくるのはまだ先になると語る三浦。その背景には震災での経験があった。

 「僕は宮城県出身なので東日本大震災の時に身近でも色々な影響がありました。その時の経験が作品に反映されることもありますが、一旦は距離を置くことが必要だった。だから昨今のコロナ禍で感じたこと、経験したことが作品に表れるのはまだ先になるかな。今回はとにかく明るい作品を、と思っています。演劇は人が集まる場所を作る行為だと思っていて、集まって話して何かを共有するというのはすごく大事な経験。今回の登場人物たちも“読書会”という場に集まって、自分の思い出を語ったり、好きな作家の物語を語ったりしながら時間を共にし、関係性を深めていく……それってすごく演劇に近い行為なんじゃないかって思います。ワンシチュエーションで役も固定なので、普段のロロの本公演より敷居が低い公演となっております! ぜひたくさんの方にご覧いただきたいです」

(取材・文:通崎千穂 撮影:山本一人(平賀スクエア))

プロフィール

三浦直之(みうら・なおゆき)
1987年10月29日生まれ、宮城県出身。2009年、日本大学藝術学部演劇学科劇作コース在学中、処女作『家族のこと、その他たくさんのこと』が王子小劇場「筆に覚えあり戯曲募集」に史上初入選。同年、主宰として「ロロ」を立ち上げ、全作品の脚本・演出を担当する。高校演劇のルールに則った60分の連作群像劇『いつ高』シリーズを上演し、高校演劇の活性化を目指すなど意欲的に活動。2016年『ハンサムな大悟』が第60回岸田國士戯曲賞にノミネートされた。

公演情報

ロロ 『ロマンティックコメディ』

日:2022年4月15日(金)~24日(日) 
場:東京芸術劇場 シアターイースト
料:一般4,500円 U-25[25歳以下]3,500円
  高校生以下一律1,000円 ※枚数限定/要学生証提示(全席自由・整理番号付・税込)
HP:http://loloweb.jp/Romantic/comedy/
問:ロロ mail:llo88oll.kanri@gmail.com

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