襲名後初となる自主公演で、伝統の継承の証と言える演目を披露 江戸糸あやつり人形の魅力を、新たなファンにも伝える

襲名後初となる自主公演で、伝統の継承の証と言える演目を披露 江戸糸あやつり人形の魅力を、新たなファンにも伝える

 江戸糸あやつり人形の伝統を380 年以上に渡り継承し続ける結城座。今年6 月には十三代目結城孫三郎の襲名が行われ、一つの節目を迎えた。その十三代目として最初の自主公演『壺坂霊験記』が10月に上演される。これは、〝手を伸ばせば人形に触れられそうなほど「小」な空間で人形芝居の醍醐味を味わっていただきたい〞という先代の思いを具現化した『孫三郎古典小劇場』の第二回として行われるもの。会場は、「天然古木の劇場と、結城座の公演との雰囲気が非常に合う」と十三代目も絶賛するザムザ阿佐谷が前回に続いて選ばれた。

 「父が十二代目を継いだ頃から、小さい場所で上演したいという話は聞いていました。結城座の糸あやつり人形は、繊細な動きを表現するために今の大きさになっています。人間の大きさとは違うこの人形の大きさを活かすために、お客様により近くで人形の動きを観て楽しんでいただくことは大変面白いのではないかと思います。ザムザ阿佐谷は、演じながらお客様の反応も強く感じられ、片時も集中を欠くことができない空間です」

 『壺坂霊験記』は明治時代に浄瑠璃として初演され、盲目の沢市とその妻・お里の夫婦愛を描く演目。結城座では九代目によって初めて上演されて以来、新旧の孫三郎が夫婦を演じ、まさに伝統の継承の証と言える特別な公演を行ってきた。

 「連綿と続いてきた作品を、今回私も演じさせていただくことになりました。今までの結城孫三郎が作ってきたこの作品の重みを私なりに背負うつもりで取り組んでおります」

 伝統を受け継ぎつつアップデートしていくのも結城座の特徴の一つで、昨年上演された『孫三郎第一回古典小劇場』ではデジタル映像を使用。ザムザ阿佐谷の空間が持つ雰囲気と相まって、学生を中心とした若いファンからも「古典がこんなに楽しめるとは!」と好評を博したという。

 「前回の『東海道中膝栗毛』では、雨の場面で雨の浮世絵の映像を使うなど、場面ごとの雰囲気を彩っていました。芝居とも合っていて、現代と古典との重なりが独特の面白みを感じられるこのような演出を今回も取り入れます。また、義太夫の竹本綾之助さんと初めてご一緒させていただけるのも大変楽しみです。皆様に結城座の古典公演をより身近に観ていただける機会として、この公演を大事にしていきたいと考えております。ぜひ、結城座の糸あやつり人形の面白みを楽しんでいただければ幸いです」

(取材・文:西本 勲 撮影:山本一人)


“忘れられない夏の思い出”を教えてください

「子供の頃よく蝉取りをしていました。夏になると蝉取りをするのが大変楽しみでいつも虫取り網を持って蝉の鳴き声を探していました。近所ではアブラゼミが多かったのですが、たまにツクツクボウシが鳴いているのを聴くと日が暮れるまで夢中で探すこともありました。母の里帰りではクマゼミが鳴いているのを初めて聞いて母の故郷が大変羨ましかった記憶があります。
毎年夏になり晴れた空を見るとその当時のことが鮮明に思い出されて、蝉の鳴き声で夏という季節が来たことを実感します。」

プロフィール

十三代目結城孫三郎(じゅうさんだいめ・ゆうき・まごさぶろう)
1978 年、十二代目結城孫三郎の長男として生まれる。1985 年、6 歳で福田善之作・演出『夢童子ゆめ草紙』にて茂山千之丞丈に教えを受け石童丸で初舞台を踏む。2005 年、『夢の浮橋~人形たちとの「源氏物語」~』(作・演出:佐藤信)東京公演に参加。以降、様々な役柄を演じて実績を重ねる。また、人形の修行に努める傍ら、二代目澤村藤十郎氏に師事し歌舞伎の台詞の修行も積んでいる。2021年6月、十三代目結城孫三郎を襲名。

公演情報

孫三郎 第二回古典小劇場 壺坂霊験記

日:2021年10月7日(木)~11日(月)
場:ザムザ阿佐谷
料:一般5,000円 ペア券[2枚1組]8,500円 
  U30[30歳以下]3,000円
  学生2,000円 ※要身分証明証提示(全席自由・税込)
HP:https://youkiza.jp/
問:江戸糸あやつり人形結城座 tel.042-322-9750(平日10:00~18:00)

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