大河内直子演出で、霧矢大夢と多和田任益が初共演! 三島由紀夫による、虚実の夢と純愛が詰め込まれた異色のファンタジー

大河内直子演出で、霧矢大夢と多和田任益が初共演! 三島由紀夫による、虚実の夢と純愛が詰め込まれた異色のファンタジー

 『薔薇と海賊』は、虚実の夢と純愛が詰め込まれた異色のファンタジー。今回、童話作家の楓阿里子役を霧矢大夢、自分を童話の中の主人公だと信じる知的障害の青年・松山帝一役を多和田任益が演じる。

霧矢「これまで作品そのものよりも、三島さん自身にフォーカスを当てたドキュメンタリーなどを観ることが多かったんです。だから、最初に脚本を読んだときは“あの三島さんがこういう作品も書くんだ”というギャップがありましたね。また、人間に対する描写や男女の考え方など、疑問がたくさん浮かんだので、稽古場ではそれを1つずつクリアにしていかないと、と思っています」

多和田「三島由紀夫さんの存在はもちろん知っていたんですけど、作品には触れたことがなくて。でも脚本を読むうちに、勝手に抱いていた“難しそうだな”という苦手意識がなくなっていましたね。3 年ぐらい前の僕だときっと『無理!』と決めつけていたかもしれないんですけど、今なら帝一を演じることができるかなという気持ちです」

 自らの役どころについて、それぞれこう分析する。

霧矢「阿里子は過去の事件をきっかけに童話作家として生きることを選択した女性です。我々役者も現実と虚構の間で生きていて、ピュアな部分も、ファンタジックな部分も、ドロドロしたところも持っている。だから、阿里子はただただ夢みがちかと思いきや、すごく現実的な“生きている人”なのかもしれない」

多和田「帝一は自分を童話の主人公“ユーカリ少年”だと思い込んでいる子どもの心を持った真っ直ぐな青年。当時で言う〝白痴〞という設定なのですが、脚本を読んでいると、全然気にならなかったですね。きっと子どもの時誰もが持っていた純粋な気持ちを思い出させてくれるので、既に帝一から『おい多和田、初心を忘れていないか?』と問われている気がします(笑)」

 観客へのメッセージを尋ねると。

霧矢「皆が鬱々としている世の中です。ぜひ外に出て、演劇に触れて、感情を動かしていただけたら。突飛で極端な人物ばかり登場しますが、人間の持つありのままの本質が見え、とても楽しめる作品なんじゃないかと思います」

多和田「僕にとっても初めてだらけの経験。たくさんの新しいことを知るきっかけになるし、表現できる場所になるんじゃないかなと思っています。特に若い人は、三島作品が難しいんじゃないかと思っている人も多いと思うんですけど、肩の力を抜いて観に来ていただければ」

(取材・文:五月女菜穂 撮影:岩田えり)

新年を迎えるにあたり、まっさらな気持ちで書初め! ……をするとしたら、どんな想いを込めて、何と書くか教えてください!

霧矢大夢さん
『動』
「この2年間くらい、コロナ禍によって全てが止まったり、停滞したり、再開しても恐る恐るだったり……そんな気持ちが続いていました。2022年はまだどうなるかわかりませんが、少しアグレッシブに動き出したい、そんな気持ちを込めました」

多和田任益さん
『出逢いと再会』
「2021年はこれまでやってきたことを振り返ったり、踏み固める作業を特に役者業ではよくやっていたかなと思うので、今年はまた沢山新たな出逢いをして、目一杯吸収する年にしたいです。そして“なかなか会えていなかった方々にまた必ず直に会える年になる”という願いも込めて、この2つにしました」

プロフィール

霧矢大夢(きりや・ひろむ)
大阪府出身。元宝塚歌劇団月組トップスター。2009年、文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。2012年の宝塚歌劇団退団後も、舞台を中心に精力的に活動を続けている。主な出演作に『マイ・フェア・レディ』、『ラ・マンチャの男』、『THE LAST FLAPPER』、『この熱き私の激情』、『タイタニック』、『ピピン』、『ビッグ・フィッシュ』など。2015年『I DO! I DO!』で第22回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。近作は『東京原子核クラブ』、ミュージカル『The PROM』、『ニュージーズ』など。

多和田任益(たわだ・ひでや)
1993 年生まれ、大阪府出身。2012年~2014年にかけて「ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン」で手塚国光役を演じる。スーパー戦隊シリーズ『手裏剣戦隊ニンニンジャー』ではスターニンジャー/キンジ・タキガワ役を務めた。主な出演作に、SHATNER of WONDER #4『ソラオの世界』、ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』、『GEM CLUBⅡ』、『PSYCHO-PASS サイコパス~Virtue and Vice~』シリーズ、『改竄・熱海殺人事件』モンテカルロ・イリュージョンなどがある。2020年にダンスエンターテインメント集団「梅棒」に加入。

公演情報

2022 都民芸術フェスティバル
unrato#8『薔薇と海賊』

日:2022年3月4日(金)~13日(日)
場:東京芸術劇場 シアターウエスト ※他、大阪公演あり
料:一般6,800円
  ※他、学生割引あり。詳細は団体HPにて
 (全席指定・税込)
HP:https://tomin-fes.com/list/theater02.html
問:unrato/アイオーン mail:baratokaizoku@ae-on.co.jp

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