名作『若草物語』を大胆にも昭和初期の日本に置き換えた新作公演 互いの手を取り合って前進する4姉妹の物語に、8人の劇団員が挑む

名作『若草物語』を大胆にも昭和初期の日本に置き換えた新作公演 互いの手を取り合って前進する4姉妹の物語に、8人の劇団員が挑む

 劇団員は全て男性。それにより生まれる独特な世界観に満たされた作品を世に贈り出している劇団スタジオライフ。名作小説や漫画作品を座付き脚本・演出家の倉田淳による脚色によって、新たな魅力を引き出すことで多くのファンを惹きつけている。そんなスタジオライフの次回作はルイーザ・メイ・オルコットの名作として、現代でも多くの人々に愛読されている『若草物語』を下敷きにした新作『ぷろぐれす』。19世紀のアメリカ、南北戦争の時代に慎ましく暮らす4人姉妹の成長を描いたこの長編から、それぞれの人生の選択を描いた『続・若草物語』を昭和初期の日本に置き換え、8人の劇団員によって上演する。しかも同じキャストをシャッフルした2組のキャストで2倍楽しめる作品になっているという。久々の新作に挑む8人の中から石飛幸治、関戸博一に話を訊く。


―――新作『ぷろぐれす』は再演ではなく新作ですね

石飛「そうです。新作に挑むのは全くゼロからの立ち上げなので楽しみがあります」

関戸「原作がある作品ですが、今回は脚色が凄く入っているので普通の新作とも感触が違います。自分達で創り上げる要素もあって、より新作感が強いですね」

―――下敷きとなる『若草物語』『続・若草物語』ですが、お2人は読まれてましたか?

石飛「昔読んだ記憶がうっすらあるくらいでした。だから映画『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』を観直しました」

関戸「アニメでもやっていましたが、凄く長いので全部は観ていないんです」

石飛「あと『ガラスの仮面』ね。ベス役をもらった北島マヤが40度の熱を出しながら舞台に立つエピソード(笑)。僕等はそんな感じですが、倉田さんは『赤毛のアン』が一番好きだという文学少女ですから正統に読まれているけれど」

―――それを昭和初期に設定するという大胆な話ですが、その時期のイメージはどうでしょう。

石飛「あんまりイメージないんです」

関戸「大正時代ならもう少しあるけど、昭和2年くらいというのはあまりないです。きっと戦争前で良い時代で、年齢的にも自分たちの未来にも希望があったんでしょうね」

石飛「今とは全然違うでしょう。でも『若草物語』に織り込まれている普遍性はそこにも通用する。だからこそ150年も読み継がれているわけです。『女性はこうでないといけない』という考えが強くて、その中で闘ったり頑張ったりしている4姉妹を描く、まるで朝ドラのような感じになるのかな」

関戸「作者のオルコット自身も、当時は女性を主人公にした小説を書くのが大変だったそうですが、それは倉田さん自身が女性として演劇界で頑張ってきたことと重なるところがあったと思います」

石飛「そういうことも含めて『ぷろぐれす』=前進するというタイトルになったんじゃないでしょうか」

―――キャストは劇団員8人。もちろん女性も男性が演じますし、今回のWキャストの一方はベテラン組が4姉妹で若手がその親たちという、逆転したキャストが組まれています。

石飛「まあここでは子供役とかもさせられますし」

関戸「ボクも数年前に萩尾望都さん原作の『なのはな』で小学校6年生の少女役をしていましたから。」

関戸「決して色物ではないのですが、今回も普通に取り組みます。ただ見た目がどうなっているか(笑)」

石飛「そう、見た目がね(笑)。それは芝居でカバーするしかないですね」

関戸「初めて観る人はビックリするかも知れません。まあそれでも構いませんから(笑)。また今度は劇場がウエストエンドスタジオなんで、役者との距離が近いんですね。肌ツヤはごまかせない(笑)。でもリアルな年齢と逆になっている面白さは、アトリエ公演ならではの楽しみでしょう。きっと石飛さんがノリノリでやっているのが目に浮かびます(笑)」

―――今回、同じベテラン組とはいえ、石飛さんと関戸さんも歳がずいぶん離れていますよね。それでもお話を聞いていると遠慮が無いというか、先輩後輩ではなく仲良しの友だちのように見えますが。

関戸「僕は2004年入団で石飛さんとはほぼ20年一緒にいるので、先輩というより一緒にやってきた人のイメージなんです」

石飛「ひとくくりにしていうなら家族みたいなものですよ」

関戸「演じる4姉妹の人生と同じくらいの期間一緒にいるので、お互い何を考えているかだいたいわかるんです。その意味で遠慮は無いですね。それに皆さん突き放すよりは受け入れてくれるタイプなので、同期の松本君と共に育ててもらった感じです」

石飛「僕にとっても頼れる“後輩”、というか“仲間”の感覚ですよ」

―――アトリエ公演という話が出ましたが、コンパクトにまとめるのでしょうか。

石飛「100分で収めるそうです。でも倉田さんは(上演時間を)長くしちゃうの大好きなんです」

関戸「3時間超えても堪えないですからね。いつも通してから削っていくんです。だから演じる方は大変で(笑)。『トーマの心臓』も最初は4時間超えてました。それをカットして何とか3時間。今ならミュージカルでそういったものもありますけど、まだ20数年前のことですから」

関戸「でも最初からその長さになるかはわかりませんね。やっぱり長いのを削るのかも(笑)。昔は稽古も長くて、終電ギリギリまでやってました」

石飛「ボクの時は朝までやってた(笑)。休憩も一切無しでズーッと(笑)」

関戸「今回は小劇場の香りが残っている作品になる気がします。オリジナルのタイトルがつけられているのも久しぶりなんです。しかも平仮名にしているところに、なにか意図がある気がするんですね」

―――最後に観客のみなさんへのメッセージをお願いします。

関戸「劇団公演に出演するのは昨年3月以来で、1年9ヶ月ぶりくらいの出演になりますが、その間に自分が身につけたものが出せればいいなあと思ってます。そして人の心がつながり、劇団も前に進むという意識が端々に表れる公演になり、みなさんも前に進む気持ちに、元気になりに来ていただけたらと思います」

石飛「ボクも昨年3月から出ていなくて、久々に劇団員だけの芝居に参加します。この1年くらい公演の配信などいろいろな試みがあちこちで行われましたが、やっぱりお客さんに劇場に来ていただいて、その前で演じたものを観ていただきたいです。まだ収束はしていませんが、工夫をしながらやっていきたいと思います。ぜひ両方のキャストを観に来ていただきたいです」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

石飛幸治(いしとび・こうじ)
北海道出身。中学校から 演劇部に在籍して『ガラスの仮面』に出会い 演劇を志す。1990年に劇団スタジオライフに加入。劇団スタジオライフの初期からの劇団員として、『夏の夜の夢』、『トーマの心臓』など多くの作品に出演している。外部公演への参加も多いが、高い歌唱力を評価されて『ドロウジー・シャペロン』、『Into the Woods』、『LesMisérable』、『ジキル&ハイド』などミュージカルにも出演。

関戸博一(せきど・ひろかず)
神奈川県出身。声優養成所時代に演劇の面白さを知り、舞台俳優を志す。いくつかの舞台を経験した後、より厳しい環境を求めて、2004年に劇団スタジオライフに加入。『大いなる遺産』、『少年十字軍』、『はみだしっ子』など数多くの劇団作品に参加し、さらに外部作品にも多数参加。アニメ『桜の温度』、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』、『NARUTO-ナルト-疾風伝』、『ULTRAMAN』など声優としても活動中。

公演情報

劇団スタジオライフ
『ぷろぐれす

日:2021年12月11日(土)~19日(日)
場:ウエストエンドスタジオ
料:一般6,500円 学生3,000円
  高校生2,000円 ※要学生証提示
 (全席自由・整理番号付・税込)
HP:http://www.studio-life.com/stage/progress2021/
問:Studio Life
  tel.03-5942-5067(平日12:00~18:00)

※カンフェティ特別チケットは11/15(月)11:00より発売開始予定

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