“STRAYDOG” 史上最大の“問題作” 航空機事故に巻き込まれた家族の物語。主演の鳥居みゆき「ご縁を感じた」

“STRAYDOG” 史上最大の“問題作” 航空機事故に巻き込まれた家族の物語。主演の鳥居みゆき「ご縁を感じた」

 “STRAYDOG”Produceによる舞台『幸せになるために』は、森岡利行が作・演出を手がけ、2020年・2021年にも上演された作品。劇中では、航空機の墜落事故に巻き込まれた家族の物語が展開する。
 今回、主演を務めるのは、お笑い芸人の鳥居みゆき。出演の決め手は、まさに脚本で「ご縁を感じた」という。意気込みを聞いた。

―――今回の舞台出演にあたってのお気持ちから教えてください。
「実は自作ではない脚本の舞台で出演することは控えようと思っていたんですが、この『幸せになるために』は脚本を読んで、是非やらせて頂きたいという気持ちになりましたね。これは航空機事故に巻き込まれた家族のお話ですが、私自身、単独ライブシリーズ『狂宴封鎖的世界』の『メーデー』という作品の中で、日航ジャンボ機墜落事故への念いを基につくったことがあって。
 その単独ライブは、正直、今思うと不完全燃焼だったんじゃないかって。もっと伝えたいことがあったのに、2時間という尺で、しかも“お笑い”にしなければいけなかったから。でも、この『幸せになるために』なら、私が伝えたいことを最後まで伝えられると感じた。(脚本・演出の)森岡(利行)さんに頼って、初めての主演舞台のような気持ちで臨みたいです」

―――単独ライブで「伝えたかったこと」というのは?

「『狂宴封鎖的世界』というシリーズは、生と死をテーマにした作品をつくっています。死に直面にしたときの心の動きなどを描きながら、普段の生き方みたいなものを伝えたかったんです。
 『幸せになるために』で伝えたいメッセージも基本は一緒だと思って、なんか嬉しかったんですよね。森岡さんは私の単独ライブを見たわけではないでしょうし、別の人生を生きてきたのに。ご縁を感じました」

―――そもそもなぜ航空機事故を題材として扱おうと思われたんですか?

「私が思うのは、やはり月日が経つと、物事は風化してしまうんです。まずはそれを思い出してもらうことが必要だと思うんです。生きたいと思っていた人もいるだろうし、本当は死にたいと思っていた人もいるかもしれない。そういういろいろな人の感情を演じることによって、物事を風化させないのと同時に、今の自分はどう生きたらいいか、自分に問うことができると思うんです。
 人の話を見ているのに、気づけば自分を見ているかのように感じると思う。そこが一緒の飛行機に乗っている感覚に近い気がして、題材として扱ったんです。
 それに、私は4歳のときに、墜落した日航ジャンボ機が軌道修正している様子を見ていたらしいんです。埼玉の田舎に住んでいたのですが、滅多に飛行機が見えないところなのに、あの日は珍しく山の近くを飛行機が飛んでいて。翌日になってその飛行機が墜落したことを知りました。私はあまり覚えていないんですが、近所では大きな話題になっていたと母から聞きました」

―――いろいろと縁を感じるお話です。今回の出演を決めたのは、まさに脚本にビビッときたからなんですね。
「そうですね。絶対にいい作品にしたいと思っているし、森岡さんの演出を受けながら、頑張りたいですね。……自分の能力は低いし、そんなにうまくできないかもしれないんですけど、みんなが助けてくれる気がしています。
 昔はとがって『誰の助けも要らない!』と思って生きてきました。けど、最近になって『もっと人に頼って生きていこう』『人も信じられるんだ』と思えるようになってきたんですよ。とげとげしていた部分がだいぶ丸くなったと思う。だから今回はお母さんの役なんですけど、できるんじゃないかなと自分に期待もしています」

―――ご自身が「丸くなった」のは何かきっかけが?
「甥っ子が生まれたんですよ。甥っ子に優しくなれたら、子どもに優しくなれて、あれよあれよとNHKの教育番組のレギュラー出演が決まって! そういうこともあって、周りの人のことを大事に思えるようになった気がします」

―――改めて舞台の魅力はどこにあると思いますか?お笑いの単独ライブとはまた違うと思うのですが。
「単独ライブは基本的に1人で演じるので、1人で何でも修正できちゃうんですよ。『今日はこうしよう!』と自由気ままに内容を変えられるんですけど、人とのお芝居は、相手の空気を感じないといけないじゃないですか。人に興味がないし、人に合わせるのが嫌いだから、ピン芸人をやってきたのに(笑)。
 でもピン芸人も経験した上で舞台に立つと、いいこともあるんですよ。相手のことを信頼していない分、危険予測ができるんです。『相手がセリフを忘れたら、こう言ってカバーしよう!』などと先回りができるようになるんです。客観的に人のことを見られるのは私の強みかなと思っています」

―――改めて、観客の皆さんにメッセージをお願いします!
「脚本に興味を持ったということでもいいと思うし、出演者のファンの方だということでもいいと思うし、観劇のきっかけはどんなことでもいいと思います。間口を広くしてお待ちしているので、ぜひ多くの皆さんに観てもらえればいいな。なんなら私も観に行けたら行きたいなと思ってます(笑)!」

(取材・文&撮影:五月女菜穂)

プロフィール

鳥居みゆき(とりい・みゆき)
1981年3月18日、秋田県生まれ。埼玉県育ち。お笑いタレント、女優、映像作家、絵本作家など幅広い顔を持つ。

公演情報

“STRAYDOG”Produce 幸せになるために

日:2022年8月3日(水)~7日(日)
  ※他、大阪公演あり
場:下北沢 「劇」小劇場
料:S席[最前列・特典付]10,000円
  A席6,000円 ※当日券は各+500円
  (全席指定・税込)
HP:http://www.straydog.info/
問:STRAYDOG PROMOTION
  mail:s-pro@straydog.info
     (平日11:00~18:00)

Advertisement

インタビューカテゴリの最新記事