<水谷千重子50 周年記念公演大千穐楽レポート>3都市42公演終了!祝大千穐楽!歌と芝居で魅了した至高の舞台

『水谷千重子50周年記念公演』第一部お芝居ステージ
「CAKUGO(カクゴ) 愛と憎しみと追憶と沈黙のミス・フローレンス」新歌舞伎座

水谷千重子が座長公演を観客動員5万5千人で完走!新歌舞伎座で大フィナーレ!

第一部は、お芝居ステージ「CAKUGO(カクゴ)愛と憎しみと追憶と沈黙のミス・フローレンス」を上演。原案は千重子の師匠である・二葉菖仁。二葉森乃介脚本、二葉慶太郎演出と、二葉一門が手掛けた。『水谷千重子50周年記念公演』にしては珍しく洋モノで、完全新作オリジナルかつミュージカルなエンターテインメント作品だ。

時は1962年、シカゴから792マイルを隔てたニューヨーク・ブロードウェイを舞台に、千重子演じる謎多き伝説の女性ダンサー、フローレンスが63年間の沈黙を破った追憶の物語。ショービジネスの世界の光と闇を軸にした笑いと涙、愛と感動にあふれるヒューマン・ハートウォーミング・コメディー・サスペンスで沸かせた。

千重子は19歳でブロードウェイの名門ウォーターバレー劇場に飛び込んだ少女と、晩年の隠せぬ迫力を纏う老婆という60歳以上年齢の異なるフローレンスを熱演。長年培った幅広い演技力と、舞台に立つだけで場を支配する存在感を見せつけた。さらに芝居を盛り立てるのは、的場浩司・高橋ひとみ・YOU・生駒里奈・バッファロー吾郎A・川西賢志郎・神里優希・ハリセンボン・ガンバレルーヤという千重子座長お墨付きの強者揃い。

闇の歴史と逃れようのない運命を背負ったフローレンスの一人芝居に惹き込まれた次の瞬間、全キャストによる華やかでダンサブルなミュージカル舞台に圧倒される。そして寄せては返す真剣芝居とアドリブ劇の波に観客は大いに湧き、さらには劇団俳優役である高橋・YOU・生駒・川西・神里が、アメリカの権力と裏社会に翻弄されるショービジネスの渦中にいた者たちの生き様を迫真の演技で魅了。クライマックスは的場演じるマフィアの武士道香るアクションで、舞台に渦巻く熱気を最高潮へと導く。そしてフローレンスが息絶え絶えに波乱の人生を語る最期の場面に、物語序盤から大爆笑していた観客たちは涙する。

この2時間のステージは、演劇、ミュージカル、アクション、そして随所にコメディー要素も詰め込まれた作品で、すべてを本物に仕上げるという覚悟のもとに構成され演じられた贅沢なエンターテイメントショーであった。

第二部は歌謡ステージ「千重子オンステージ」。
お芝居の大感動フィナーレのあと、驚き、笑い、泣いた、その感情の整理がつかないまま歌謡ショーに突入…改めて彼女はそう、水谷千重子だ。のびやかな歌声と「バカ言ってる」のトーククッションで観客をまた夢のフルコースへと導く。

メインディッシュのあとの、またメインディッシュ!でもそれでも胃がもたれることはない。自身のオリジナル曲、そして最新カバーアルバム『LOVE昭和SONGS』から千重子お気に入りの名曲を、さらに豪華ゲストとのデュエットを軽やかに歌いあげた!千重子の50周年を祝いに駆けつけたのは、島津亜矢、麻倉未稀、岩崎宏美、はいだしょうこ、杉山清貴、水森かおり、麻倉未稀、山崎育三郎、MyM、数原龍友、根本要、玉城千春(出演日順)という実力派アーティストたち。
 

ジョインゲスト(出演日順):島津亜矢、麻倉未稀、岩崎宏美、はいだしょうこ、杉山清貴、
水森かおり、麻倉未稀、山崎育三郎、MyM、数原龍友、根本要、玉城千春

アンコールでは人生の応援歌『人生かぞえ歌』を熱唱。観客がまた一つとなった。
何よりも、敢えてこの表現をさせてもらうが…「水谷千重子」であり「友近」でもある彼女の板の上で戦ってきた芸人としての生き様、覚悟をまざまざと見せつけられた作品であった。こんなにも沢山の老若男女、世代も価値観もバラバラの人々を彼女の作り上げてきた世界観によって一つにしてしまう。この世界に訪れたほんのひと時に感動と笑顔で劇場を充満させる彼女は、この芸能界においてまさに唯一無二の存在だと改めて実感した。誰も真似できない、生の舞台を観劇したものだけがそれを確信する。

歌謡ステージにジョインしたおなじみ二葉ファミリーの面々。見事なまでにこの猛獣達を泳がせたり突き放したり、時には心の底から尊敬したりと、水谷千重子の猛獣使いっぷりにも感心した。そんな歌謡ステージのレポートも到着。

ジョインゲスト(二葉ファミリー):御崎進、萬みきお、倉たけし、まさとし先輩

●御崎進
今回のショー出演のために東欧ニデーンから緊急帰国した御崎進。客席が自然と総立ちになる圧巻のパフォーマンスを披露し、ステージ上でじゃこ天4枚を平らげるお茶目な一面も見せた。千重子に御自慢の襟足を触れられて激昂する場面もあったが、藤井一子『チェック・ポイント』のデュエットで途端に朗らかになり円満に和解。

●萬みきお
芸歴76年。50周年を数える千重子にとって唯一の先輩となる超大御所。昭和世代には懐かしい大ヒット移動曲『契り』を披露し今なお衰えぬ歌唱力を見せつけた。歌唱以外でのトークでは現代社会に蔓延る様々なコンプライアンスを軽々と飛び越え、記録厳禁の門外不出ステージを繰り広げた。

●倉たけし
千重子とは同期。二葉ファミリーの絶倫番長こと倉たけしも大暴れのステージングを見せた。過去の黒い交際スキャンダルを払拭するために持ち歌である『感謝』を歌い上げ、偶然客席にいた組長に捧げる一幕も。独自のマイク楽器“倉ンペット”演奏では千重子と『はがゆい唇』のジョインを決行。新曲デュエット『時のリボン』も初披露し、歌謡ショーを荒らしに荒らしては忍者音楽と共に舞台を後にした。

●まさとし先輩
沖縄の音楽シーンを賑わしていたまさとし先輩を千重子が慧眼のピックアップ。さしたる目的もなく終始ステージ上を徘徊する黒ジャージ姿のまさとしに千重子が圧倒される珍しい一幕も。三線での弾き語りで大入りの客席を沖縄色に染め上げたかと思えばカラオケ名曲『STAY WITH ME』のデュエットでは千重子との抜群の相性を見せつけた。
 



明治座、博多座、新歌舞伎座と、各劇場で満員御礼となった『水谷千重子50周年記念公演』。千重子を慕う有名人も観劇に訪れ、そのうち歌手の平原綾香が、こんなメッセージを自身のSNSに綴った。

なんでも本業にできてしまう人がいる。
では、本物とは一体なんなのだろうか。
いろんなことが言えるけれど
確かなことは
〇〇があるかどうか、なのだということだ。

体当たりな人、器用な人
なんにでも染まれる人。
誰かを演じることで
自由になれる人もいれば
サングラスやお面を身につけることで
表現しやすくなる人もいて
それは、人それぞれだ。
私の場合は、デビュー当時
歌うこと自体が恥ずかしくて
本業であるサックスを吹くイメージで歌うと
自由に歌えた、という過去がある。
歌手でデビューした当時は
自分のことを歌手と呼ぶのが
まだ、どうもしっくりこなくて
職業欄には、いつも「音楽家」と書いた。

第一部では、想像していたものを
はるかに超える本格的な舞台だった。
もう少しお笑い要素が
強いと思っていただけに
120分間の凝縮されたお話の展開には驚いた。
セリフやダンス、時に歌もあり
突如として、お笑い特有の
“〇〇でボケる” みたいな
お題が急に来ることを加味しても
お笑い出身、俳優出身
なんであろうが関係なく
選ばれし人たちが
出演している舞台なのだと思った。
ひとりひとりの才能が光っていて
みんなプロフェッショナルだった。

第二部は、水谷千重子ショーである。
今回は、記念すべき4回目の
50周年記念公演ということで
本当におめでたいことである。
水谷千重子さんの歌の良さは
なんと言っても、まずは
その声の“誠実さ”なのだと思う。
50年歌ってきても、なお
澄み切った心の音がするのだ。

誰かを思い出すような懐かしさもあり
誰かに似ているようで、誰にも似ていない。
歌声の中にある少女性と、母なる声の音圧に
私たちは、どんどん引き込まれていく。
彼女の歌からはいつも
歌うことへの感謝を感じるのだ。
そして、人一倍優しい人なのだと
歌声が教えてくれる気がする。
来年にまた来るであろう50周年には
また素晴らしい歌声を
聴かせてくれるのだろうなと
これからの天才・水谷千重子伝説を
見届けたくなった。

さて、本日の歌のゲストは
まずは1人目が「まさとし先輩」だった。
千重子さんと友近さんが
沖縄でスカウトしてきたそうだ。
なんと言えば伝わるのだろう。
大自然を前にした時のような
圧倒的な何かがあった。
きっと、この会場の中で一番
大地に近い人であり
海や風の声を聞ける人なのだろう。
彼の「フェーシ」と呼ばれる囃子言葉に
自分のDNAが呼び覚まされ、血が騒ぐような
なんとも言えない力を感じ、涙が出た。
続いてのゲストは
ロバートの秋山さんによく似た
「倉たけし」さんだ。
声の良さに加え、魅せる歌い方が上手!
50周年のお祝いに、倉さんが千重子さんに
花束を持ってきたのだが
それがブロッコリーだったのがとてもよかった。
私も過去に
フルーツトマトの楽屋花を頂いた身としては
のちに食べられる花束って魅力的なのだ。
その後、二人のデュエット曲である
新曲「時のリボン」も披露され
音楽と笑いの狭間で、心地良さそうに踊る
お笑いの神様を見た気がした。

「本日の公演が、一番長くなった」と千重子さん。
そう、“笑いと涙と驚きと興奮”のショーは
約4時間15分の、記念すべき公演となった。
本物とは、一体なんだろうか。
いろんなことが言えるけれど
確かなことは
“覚悟”があるかどうか、なのだということだ。
歌う覚悟
笑わせる覚悟
演ずる覚悟
踊る覚悟
奏でる覚悟
CAKUGOを持った時
人はいつだって、本物になれるのだろう。

2025年9月4日 平原綾香オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/p/DOLazWKkp5q/
 


 
1970年に、二葉菖仁にスカウトされたことを機に、演歌の世界へと足を踏み入れた水谷千重子。1972年に歌手デビューを果たして以来、50年。いまやその活躍は演歌界にとどまらず、日本のエンターテインメント界をも牽引する存在となった。そのパワーはいまだ衰えを知らず、多くのエンターテイナーに刺激と感銘を与え続けている。今回、千重子が熱演したミス・フローレンスもまた、かつて世界的なアーティストたちにインスピレーションを与えた伝説の人物。舞台上で重なる千重子とフローレンスの姿は、決して偶然ではなかったに違いない。


千穐楽ライブレポート/岩本和子
公演レポート/鈴木ユカ
 

水谷千重子 プロフィール

福井県出身。幼少時に飛び入り出演した「歌まね生一本」でグランドチャンピオンとなり、番組の審
査委員長でもあった二葉菖仁の目に留まり芸能界入りを果たす。以後、演歌とJ POPの架け橋的存在として幅広く活動している。

アルバム「ジョインがお好きでしょ」は岸谷香、二葉マッキー敬之、水野良樹(いきものがかり)とい
う日本を代表するアーティスト達からの楽曲提供を受け話題となった。2019年に初開催した明治座での『水谷千重子50周年記念公演』は完売が続き、約2万人を動員。5年に渡り50周年記念公演を4回も開催している。

2019年 水谷千重子 50 周年記念公演「とんち尼将軍一休ねえさん」明治座
2021年 水谷千重子 50 周年記念公演「神社にラブソングを」明治座/博多座
2023年 水谷千重子 50 周年記念公演「ニンジャーゾーン」明治座 /博多座
2024年 『水谷千重子の宴ジョインコンサート』を 4 都市で開催。
2025年 4月、自身のキャリア初となる世界遺産・奈良「春日大社」でのライブを開催。
    8月~10月、水谷千重子50周年記念公演「CAKUGO(カクゴ) 愛と憎しみと
    追憶と沈黙のミス・フローレンス」明治座/博多座/新歌舞伎座を完走。

公演概要

■公演名:水谷千重子50周年記念公演
◆お芝居ステージ「CAKUGO (カクゴ) 愛と憎しみと追憶と沈黙のミス・フローレンス」
原案:二葉菖仁 脚本:二葉森乃介 演出:二葉慶太郎
出演:水谷千重子
   生駒里奈 バッファロー吾郎A
   川西賢志郎 神里優希
   ハリセンボン(近藤春菜・箕輪はるか、ダブルキャスト)/
   ガンバレルーヤ(よしこ・まひる、ダブルキャスト)
   高橋ひとみ(ダブルキャスト※)/YOU(ダブルキャスト※)
   的場浩司
   ※…高橋ひとみは明治座と博多座、YOUは明治座と新歌舞伎座の出演となります。

◆歌謡ステージ「千重子オンステージ」
出演:水谷千重子
 日替わりジョインゲスト:
  <明治座>島津亜矢、麻倉未稀、岩崎宏美、はいだしょうこ、杉山清貴、水森かおり(出演日順)
       御崎進、萬みきお、倉たけし、まさとし先輩
  <博多座>麻倉未稀、山崎育三郎、はいだしょうこ、水森かおり、MyM、数原龍友(出演日順)
       御崎進、倉たけし、まさとし先輩
  <新歌舞伎座>水森かおり、根本要、玉城千春、はいだしょうこ(出演日順)
       倉たけし、まさとし先輩

■公演公式ホームページ:https://www.bakaitteru.com/
■公演公式X:https://x.com/ChiekoM_Meijiza
      @ChiekoM_Meijiza
 

※全公演終了いたしました。
【東京公演】 会場:明治座(東京都中央区日本橋浜町2-31-1)
      ■公演期間:2025年8月22日(金)~9月7日(日)
【福岡公演】 会場:博多座(福岡県福岡市博多区下川端町2-1)
      ■公演期間:2025年9月13日(土)~9月22日(月)
【大阪公演】 会場:新歌舞伎座(大阪府大阪市天王寺区上本町6-5-13)
      ■公演期間:2025年9月27日(土)~10月5日(日)

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