もう帰ろう、内地に。東京に……。
チェーホフ『三人姉妹』の翻案を通して、日韓の歴史を見つめる話題作。
3年ぶり待望の再演。
KAAT神奈川芸術劇場が2020年12月、演出家・多田淳之介が主宰する<東京デスロック>との共同製作により初演し好評を博した日韓合同作品『外地の三人姉妹』を再演いたします。
演出を手掛けるのは、古典から現代戯曲、ダンス、パフォーマンス作品まで幅広く手がけ、現代社会に於ける当事者性をアクチュアルに問い続ける多田淳之介。翻案・脚本は韓国の劇団<第12言語演劇スタジオ>芸術監督で、平田オリザ氏や野田秀樹氏ら日本の劇作家・演出家と数々の作品を共にし、日韓の現代演劇の架け橋として活躍するソン・ギウン。
二人はこれまでも数々の作品で日韓共同制作を重ねてきました。なかでも、2013年にチェーホフの『かもめ』を日本統治下の朝鮮を舞台に翻案し、日韓共同製作にて上演した『가모메 カルメギ』(翻案・脚本:ソン・ギウン/演出:多田淳之介)は、韓国で最も歴史と権威のある東亜演劇賞において「作品賞」「演出賞」「視聴覚デザイン賞」の3賞を受賞。演出の多田は50年の賞歴で初の外国人演出家による正賞受賞となり、KAAT 神奈川芸術劇場での日本公演でも大きな反響を呼びました。
2020年、再びタッグを組んだ二人が挑んだのは、チェーホフの三大戯曲に数えられ人気の高い『三人姉妹』。その翻案、『外地の三人姉妹』では、舞台をロシア帝政末期の田舎町から1930年代の朝鮮北部に置き換え、日本軍の亡くなった将校の娘たち三姉妹は「モスクワへ」ではなく、生まれ育った「東京へ」望郷の想いを募らせます。日本語・韓国語に加え、エスペラント語・英語・ドイツ語が飛び交う舞台上で、時代に翻弄される人々を日韓俳優陣の競演で描き大きな話題を呼びました。3年ぶりとなる今回の再演にあたっては、多角的な視点を意識し戯曲を改訂。より慎重で興味深い作品へさらにブラッシュアップすることを目指します。
作者の冷静かつ鋭い観察眼による歴史観で名作『三人姉妹』を蘇らせ、全く新しい「貌(かたち)」を持って現れる『外地の三人姉妹』。創作の過程で、異なる視点や立場から日韓の歴史の「貌(かたち)」、そして現在を見つめるという作業を重ね、一方に偏らない表現を追求してきたソン・ギウンと多田淳之介。二人が協働するこのプロジェクトは、シーズンタイトル「貌(かたち)」の思考を深める大きな刺激となります。3年ぶりの再演に是非ご期待下さい。
あらすじ
1930年代、朝鮮半島の北部にある日本軍が駐屯している都市、亡くなった将校の息子と三人姉妹が住んでいる屋敷。息子は朝鮮の女性と結婚し、姉妹はいつか故郷である東京に戻ることを夢見ている。戦争へ向かう帝国軍人達の描く未来像、交差する朝鮮人の想い、姉妹達の日本への望郷の想いとは…。
キャスト・スタッフ
【原作】アントン・チェーホフ『三人姉妹』
【翻案・脚本】ソン・ギウン
【演出】多田淳之介
【翻訳】石川樹里
【出演】
伊東沙保 李そじん 亀島一徳 原田つむぎ アン・タジョン 夏目慎也
佐藤誓 大竹直 田中佑弥 波佐谷聡 松﨑義邦
イ・ソンウォン 佐山和泉 鄭亜美
プロフィール
翻案・脚本:ソン・ギウン(성기웅/Sung Kiwoong)
劇作家、演出家、第12言語演劇スタジオ芸術監督、ソウル芸術大学教授。
1999年東京外国語大学に一年間交換留学の際に日本語を学び、その後は平田オリザの戯曲などの翻訳、野田秀樹作・演出の『半神』(2014)、平田オリザとの共同台本・演出での『新・冒険王』(2015)など、日本演劇との交流と合作にも関わっている。2013年にはドゥサン・ヨンガン芸術賞・公演芸術 部門、今日の若い芸術家賞(文化観光体育長官賞)・演劇 部門 受賞。2013年『多情という名の病』を第20回BeSeTo演劇祭招聘作品として、東京の新国立劇場小劇場で上演。2017年に約10年間にわたって手掛けた「小説家クボ氏」四部作を完成させるなど、多岐にわたる活躍を見せる。
演出:多田淳之介(ただ・じゅんのすけ)
1976年生まれ。神奈川県出身。演出家。東京デスロック主宰。
古典から現代戯曲、ダンス、パフォーマンス作品まで幅広く手がけ、現代社会に於ける当事者性をアクチュアルに問い続ける。創作活動と並行して公共劇場の芸術監督や自治体のアートディレクター、フェスティバルディレクターを歴任し、国際・教育・地域を活動の軸に海外公演や国際コラボレーション、教育機関や地域でのアートを活用したプログラムを数多く手掛ける。日韓合作『가모메 カルメギ』にて韓国の第50回東亜演劇賞演出賞を外国人演出家として初受賞。東京芸術祭共同ディレクター。四国学院大学、女子美術大学非常勤講師。
主な演出作品に『Anti Human Education』シリーズ、『ハッピーな日々』『再生』『가모메 カルメギ』のほか、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ゴドーを待ちながら』、木ノ下歌舞伎『義経千本桜』など外部演出作品も多数。
スケジュール
11月29日(水) 18:30
11月30日(木) 14:00☆
12月02日(土) 14:00◎
12月03日(日) 14:00
12月04日(月) 14:00☆
12月07日(木) 18:30
12月08日(金) 14:00★◎
12月09日(土) 14:00★
12月10日(日) 14:00★
※開場は開演の30分前
※日韓二ヶ国語上演/日本語字幕付き
★=英語字幕あり(ポータブル字幕タブレット席の要事前申込)
ご希望の方はチケットかながわよりお申込みください。
Tablets of English subtitles are available (Seating area is designated).
For application, please visit Ticket Kanagawa.
◎=託児サービスあり 公演1週間前までに要予約・有料(マザーズ0120-788-222)
☆=終演後にアフタートークを開催します。
11/30(木)ソン・ギウン(翻案・脚本)×多田淳之介(演出)
12/4(月)多田淳之介(演出)×長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
※アフタートークは当日のチケットをお持ちの方のみ参加できます。