ことし2025年が25周年イヤーである京都芸術センターが、今、関西でもっとも勢いに乗る若手劇団の一つ、劇団不労社の西田悠哉を演出に迎え、林慎一郎の第20回OMS戯曲賞特別賞受賞作『タイムズ』を、劇団不労社の劇団員、オーディションで選抜された出演者とともに、新演出で上演する。
戯曲『タイムズ』の初演は2013年、干支がちょうど一巡したわけだが、この間には新型コロナウィルスの蔓延をはじめ、舞台芸術のシーンも大きく揺れた。
演出の西田裕悠と『タイムズ』との出会いはちょうど10年前。伊丹のAI・HALLで佐藤信の演出で、西田は大学3回生になってすぐ、劇団不労社の旗揚げ公演を行った翌月だったという。
今回は関西・日本各地から集まったキャストのほか、音楽には京都を拠点にサンプリング・コラージュを駆使した疾走感あるサウンドで注目を集めるin the blue shirtを迎える。かつてなくグルーヴィーで、混沌と奇想と笑いに満ちた公演に注目が集まる。
演出の西田のコメントを紹介しよう。
(以下、西田)
『太陽から大洋へ、原子から電子へ、bitからbitchへ、ワールド・ワイド・ウェブからワイルド・ワイルド・ウェストへ、そしてコインパーキングから「時」の世界へ……
といった具合に、ダジャレのような言葉遊びから、次から次へとイメージがザッピングされ、下ネタから存在論まで、ミクロとマクロの世界を目くるめく自在に行き来する、劇世界のあまりの自由さに興奮と感動を覚えました。
膨大な台詞から発せられる圧倒的な情報量により、話の筋を捉えることも困難で、何を見たか他人に説明するのさえ難しいのですが、とにかく本能的に「わかる!」と思いました。
この「わかる!」は、「理解した!」というより、人生で数回訪れる「自分のための劇だ!」という不遜な思い込みです。
あの観劇から10年。
当然ではありますが、劇団を旗揚げしてからも10年が経ったこととなります。
2000 年に開設された京都芸術センターの25周年を記念した公演の演出を打診され、あの時受け取った「わかる!」
という感覚を確かめるべく、この戯曲を上演したいと申し出ました。
奇しくも大学時代に足繁く通ったAI・HALLは来年で閉館となります。
様々な節目が重なる年に、「これまで」と「これから」が交錯し、複数の「時間」が渦巻く公演にしたいと思います。』
公演情報
KAC Performing Arts Program 2025
西田悠哉/劇団不労社『タイムズ』
日:2025年8月22日(金)~25 日(月)
場:京都芸術センター フリースペース
料:早割:一般3,000円
(7月25日までの受付、各回25枚限定)
前売:一般3,800円 / 25歳以下:2,500円
(各回25枚限定) /高校生以下:1,500円 / 遠方割(京都府および隣接県以外からのご来場):3,400円 当日券:一般4,500円
HP:https://www.kac.or.jp/events/20250609-2/
問:075-213-1000(10:00~18:00)/info@kac.or.jp
キャスト・スタッフ
戯曲:林慎一郎(極東退屈道場)
演出:西田悠哉(劇団不労社)
出演:荷車ケンシロウ、むらたちあき(以上、劇団不労社)、田川徳子、知念史麻 (青年団)、永井秀樹(青年団)、夏目れみ、日和下駄(円盤に乗る派)、増田知就 (ブルーエゴナク)、松永檀、吉田真知子(喜劇結社バキュン!ズ)
音楽:in the blue shirt