鹿賀丈史&市村正親のゴールデンコンビで5回目の上演!『ラ・カージュ・オ・フォール』会見レポート!

鹿賀丈史&市村正親のゴールデンコンビで5回目の上演!『ラ・カージュ・オ・フォール』会見レポート!

同性カップルを主人公に、「夫婦愛」と「家族の絆」を描いて1985年の日本初演以来長く愛され続けるミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』が、日比谷の日生劇場で上演中だ(30日まで。のち、名古屋・愛知県芸術劇場 大ホール、富山・オーバード・ホール、福岡・博多座、大阪・梅田芸術劇場メインホール、埼玉・ウエスタ川越 大ホールでも上演)。

(取材・文・撮影/橘涼香)

ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール 』は、1973年にフランス演劇として誕生し、映画化もされたヒット作を基に、1983年アーサー・ローレンツ演出、スコット・サーモン振付によって、ミュージカル化された作品。
その年のトニー賞6部門、ドラマ・デスク賞3部門を受賞するセンセーショナルを巻き起こし、ロンドン/ウエストエンドでもロングランを記録。2004年に、次いで2010年にもブロードウェイでリバイバルバージョンが上演され、トニー賞史上初となる2度の「ベスト・リバイバル・オブ・ミュージカル」受賞の快挙も成し遂げ、今も世界中で愛され続けている。

日本では1985年、青井陽治演出、リンダ・ヘイバーマン振付で、ゲイクラブのオーナー・ジョルジュを岡田真澄、クラブの看板スター“ザザ”ことアルバンを近藤正臣のカップルで初演。その8年後の1993年から市村正親のサザが登場。当たり役のひとつとして上演を重ねてきた。
そして2008年からはジョルジュ役に市村の劇団四季時代からの盟友・鹿賀丈史を迎え、『ラ・カージュ』史上最高のゴールデンコンビが誕生。日本ミュージカル界に大きな足跡を残してきた山田和也のシンプルに「愛」を伝える演出も加わり、その上演史を伸ばし続けている。

そんな人気作品の2022年版初日を前に、ジョルジュ役の鹿賀丈史。“ザザ”ことアルバン役の市村正親。
1985年の初演以来カジェル(※カジェル=ナイトクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のショーの出演者である「可憐な踊り子たち」の総称)のハンナ役を演じ続け、振付も担う真島茂樹。ゲイクラブ撲滅運動を推進する政治家ダンドン役の今井清隆。その妻ダンドン夫人をやはり初演から演じ続けているオリジナルキャストの森公美子
そしてジョルジュとアルバンの友人であり理解者であるジャクリーヌの香寿たつきが登壇。公演への抱負を語った。

──初日を迎える思いを教えてください。
鹿賀「5回目の出演になります。このような状況下で『ラ・カージュ・オ・フォール』という芝居を上演するのはどういうことなのか?をずっと考えながら稽古をしてきました。けれども最終的には観てくださる方に、家族や人を思う気持ちなどが楽しく伝わればいいのかなと思っております。こういう時期だけにみんな張り切っておりますので、是非多くの方に観ていただきたいと思っております。」
市村「『ラ・カージュ』に出演して30年ほどになりますが、30年前は皆さんが本音で美しい、美しいと言ってくださったのですが、最近は本音でなく辛そうに「美しいですね」と言われるのが、嬉しいやら、悲しいやらで。でもザザという役の年齢に近づいてきて、いま本当のザザを演じることができるのではないかと思っています。袖から観ていても、舞台で演じていても、本当に良い作品ですので、(ザザになり切って)みなさん、たくさん観に来てちょうだい!」
──美しいですよ!
市村 本音ですか?無理してませんか?(笑)
──もちろんです!本当に美しいです!では真島さんお願いします。
真島「ゲイクラブ“ラ・カージュ・オ・フォール”の従業員ハンナという役を演じます。この役を初演から演じていて37年になりました。いま着ているものは二代目の衣裳で、今回からではないのですが、豪華に作っていただきました。従業員たちを“カジェル”といって、皆とても個性的です。ザザがその頂点に立って高い声でキャーキャー言いながらステージを務めています。どうぞよろしくお願いします。」
香寿「私も鹿賀さんの初演の2008年から5回目の出演になりますが、皆さんが進化していかれる姿が素晴らしくて、日々そんな先輩方から刺激をいただいております。5回目にしてここまで進化するのだと驚くほどなので、2022年版として新しく生まれ変わっていると思いますので、是非みなさま観にいらしてください。よろしくお願いいたします。」
今井「私も鹿賀さんの初演からで5回目の出演なのですが、チームワークの素晴らしいカンパニーです。クミちゃん(森)ともずいぶん長く夫婦を演じているので、倦怠期の感じもそのままで出るのではないかと思います(爆笑)。本当に素晴らしい、楽しい作品ですので、是非よろしくお願いいたします。
森「コロナ禍で皆様大変な時だと思いますが、是非この『ラ・カージュ・オ・フォール』の愛を分かちあい、会いに来ていただけたらと思います。私達も劇場も万全の感染対策をしておりますし、客席を抜ける場面がこの作品にはあるのですが、ちょっとこの状況下での工夫もありますので、是非どうなっているのかも楽しみに観にきていただければ。私もこの役を演じて37年目なので、20代からはじまりまして60代になりました。いま、この『ラ・カージュ・オ・フォール』のキャストの平均年齢は、世界で一番高いミュージカルなんじゃないか?ギネスに申請できるのでは?と思っています。年齢非公表の方がいるので、そのあたりを製作は悩んでいるようですが(笑)」
──円熟味を増した『ラ・カージュ・オ・フォール』ということですね!お稽古はいかがでしたか?
市村 2日で1幕が終わったんです。皆身体に入っているから。
──それだけ身に沁み込んでいる舞台ですが、変わらない部分と、新たな発見や気づきなどはありましたか?
鹿賀「ご覧の通り地毛でやることにしました。前回までは役柄の設定に近づけようとして鬘を使っていたのですが、いまの自分が演じる実年齢に近い感じのジョルジュでいいだろうと。どっちが良いですか?」
今井「地毛とても素敵ですよ。」
香寿「本当に素敵です!」
──素敵だと思います!市村さんはいかがですか?
市村「変わらない部分は“愛”ですね。変わった部分はあり過ぎて言いたくありません!(笑)。みんな色々変わるのですが、愛は変わりません!」
真島「やっぱり変わりました。初演の時には若さで踊っていましたが、いまは鹿賀さんがおっしゃったように実年齢に近い感じで踊っています。」
市村「マジ―(真島)が踊っているのを見ていると泣けるの。哀愁があって」
真島「哀愁ね(笑)」

──最強のゴールデンカップルと呼ばれるお二人ですが、演じ続けていていかがですか?
鹿賀「お互いに歳を重ねていて、いっちゃん(市村)とは稽古でも、特に言わなくても通じるものが多いです。」
市村「丈史とは20代で出会ってかれこれ50年のつきあいがあるので、二人で芝居をしていると、どこまでが芝居なのか、演出なのかわからないくらいのものがありますね」
──「いっちゃん」「丈史」と呼び合っていらっしゃるんですね。また、コロナ禍で難しい状況が続くなかの舞台になりますが。
鹿賀「舞台に立つことでお客様に熱い心を届けたいという思いがありますし、またそれができる作品なので、お客様に熱いエネルギーをぶつけて、またお返しいただくものをパワーにしていきたいです。」
市村「自分の注意としては、汗をかいて、よく寝て、体力と免疫力を高めて頑張りたいです。」
真島「全員マスクをしながらのダンスの稽古でしたから、やはり一ヶ月の稽古は大変でした。皆さんともご挨拶以上の会話もできませんし。でも鹿賀さんがおっしゃったようにお客様にエネルギーをお届けして、一瞬でもコロナを忘れていただきたいという気持ちで舞台を務めていきたいです。」
森「デパートに行くのが大好きなのですが、それも控えていますし、マスクも二重にして、どこでもゴム手袋をしています。そういう細かいことに気をつけて、とにかく皆で十分に注意をしてやってきました。ワクチンも3回目をみんなすませてね」
今井「そうですね」
香寿「はい、みんな」
──私たちも舞台からパワーをいただけるのを楽しみにしています。では最後に鹿賀さん、市村さんから代表してメッセージをお願いします。
鹿賀「こういう状況なので外出が難しい方がいらっしゃるのも十分に承知しておりますが、我々のなかではいままでで一番の『ラ・カージュ・オ・フォール』ができたと思っています。この熱量をお届けしていきたいのでどうぞよろしくお願いします」
市村「『ラ・カージュ・オ・フォール』はいつも最後に「今、この時」をお客様と一緒に歌っていたのですが、いまお客様に歌っていただくことこそできませんが「いま、この時を愛して、大切に生きましょう」という気持ちで、素晴らしい愛をお届けしたいです。とてもエネルギーになる作品だと思いますので、是非劇場にいらしてください!」

【STORY】

南仏サントロペのゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のオーナーのジョルジュ(鹿賀丈史)と、看板スターの“ザザ”ことアルバン(市村正親)は20年間同棲し、事実上の夫婦として生活してきた。ジョルジュには24年前の過ち(?)から生まれた最愛の息子ジャン・ミッシェル(内海啓貴)がいるが、彼を母親代わりとなって手塩にかけて育ててきたのもアルバンだった。だがアルバンはこのところふさぎこんでいて、ショーの出番に遅れることもしばしばで、機嫌をとるジョルジュもどこか投げやり。いわば二人は倦怠期なのだ。

 そんなある日、ジャン・ミッシェルが突然結婚すると宣言。しかもその結婚相手がよりにもよって、ゲイクラブを厳しく取り締まるべきだと主張する政治家ダンドン議員夫妻(今井清隆&森公美子)の娘アンヌ(小南満佑子)で、家族揃って挨拶に来ると言うのだ。

 ジャン・ミッシェルはジョルジュに一晩だけ《普通の家族》に見えるよう取り繕ってくれと懇願したばかりか、長年会っていない実の母親をその席に呼んで欲しいと言い出す。ジョルジュはお前の申し出がどれほどアルバンを傷つけるかわかっているのか?とジャン・ミッシェルに問うが、たった一晩だけのことだからとの息子の頼みを遂に聞き入れてしまう。

 案じた通り、計画を聞いたアルバンは深く傷つくが、ジョルジュの説得によりジャン・ミッシェルの頼みを受け入れ、叔父として同席するために慣れない“男装”の訓練まですることに。ところが、肝心の実の母親から挨拶の席には出られないとの連絡が飛び込み、アルバンはついに女装し母親としてダンドン一家と対面することを決意。馴染みのジャクリーヌ(香寿たつき)の店での食事会はひとまず大成功に終わるはずだったのだが……。

公演概要

ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』
公演期間:2022年3月8日 (火) ~2022年3月30日 (水)
会場:日生劇場
出演:鹿賀丈史 市村正親
内海啓貴 小南満佑子 真島茂樹 香寿たつき 今井清隆  森公美子 他
作詞・作曲:ジェリー・ハーマン
脚本:ハーベイ・ファイアスティン
原作:ジャン・ポワレ
翻訳:丹野郁弓
訳詞:岩谷時子 滝弘太郎 青井陽治
演出:山田和也
オリジナル振付:スコット・サーモン
〈料金〉S席14,000円 A席9,000円 B席4,500円(全席指定・税込)
〈全国ツアースケジュール〉
4月9日~10日:名古屋・愛知県芸術劇場 大ホール
4月16日~17日:富山・オーバード・ホール
4月22日~25日:福岡・博多座
4/29日~5月1日:大阪:梅田芸術劇場メインホール
5月7日~8日:埼玉・ウエスタ川越 大ホール
【公式サイト】https://www.tohostage.com/lacage/

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