個性豊かなキャラクターたちの勘違いラブコメディ デッドエンド回避のための行動が狂気を生み出し地獄絵図!?

小説投稿サイト「小説家になろう」発の人気作『悪役令嬢ですが攻略対象の様子が異常すぎる』が、「COMICOコロナ」のコミカライズ連載を経て初舞台化される。乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したことに気づいたミスティアが、破滅エンド回避に尽力したせいでゲームになかった設定に変化し好かれる人間になったことから自分を追い込んでしまう異色作。舞台はヒロインであるミスティアの婚約者レイドの視点で描いていく。作品を代表して、レイド役の千葉瑞己、ミスティア役の明音亜弥、エリク役の千疋隼斗に話を聞いた。


悪役令嬢なのに生まれ変わって人から好かれる人間となり、攻略対象として求められる側になる

―――原作の印象はいかがですか?

千葉「普段アニメを観たり攻略系のゲームをしていますが、登場人物がどんどんおかしな方向に進んでしまい、メインのヒロインではなく悪役ミスティアの方に惹かれてしまうという、誰も想像していなかった方へ進んで行くところが他とは違う作風、と思ったのが第一印象です。
 個人的にヤンデレ系が好きで楽しんでいるので、自分が演じるとなって非常に楽しみです。愛が深すぎてゆがんで形を変えてしまう所に美学を感じていて、そこまで人や物を愛することができるレイドが羨ましく、彼を理解していけたらと思っています」

明音「とにかく攻略対象たちのキャラが立っていることが第一印象です。私自身、学生時代に乙女ゲームをよくやっていて、この人を攻略するためにはどうしてやろうかとよく考えていたんですが(笑)今回は逆の立場で、悪役令嬢ではあるけれど生まれ変わって少し人から好かれる人間となったミスティアが攻略対象として求められる側になる、という部分が不思議な感じで面白いと思いました。ミスティアのかわいいだけではなく芯のある部分、裏にある闇感なども表現できたらと思っています。こんなに男性に囲まれる事はないと思うので、それも楽しみながら頑張りたいです。とにかく楽しみです」

千疋「このジャンルの原作を読むのが初めてで、読みながらずっとキュンキュンしていました。ここはどうなっていくんだろう、舞台にする時はどうやって表現するんだろうとドキドキです。エリクを演じますが、原作を読み込んで目に見えない部分のアプローチを深く追求して、更に年上キャラなので、ちょっとお兄さん感も出していけたら」

―――役どころについて何を意識して演じようと思っていますか? レイドはとても優秀な王子様キャラですね。

千葉「レイドは難解な人物という印象があって、両親の影響で愛に対してマイナスな感情を持っていたところをミスティアに色んな形で救ってもらい、そこに惹かれていきます。その背景はしっかり自分の中に作って、どれだけミスティアに深い愛を捧げるか。その部分を意識して表現しようと思っています。エリクならガンガンに好きをアピールできますが、レイドは伝わるようで伝わらない、そこが繊細な部分で一番大切な部分かなと。レイドはもともと婚約者というアドバンテージを持っているので、それをどうやって活かしていくか、台本は決まっていると思いますが僕ら本人は台本ありきで生きているわけではないので、しっかりミスティアと結ばれるつもりで頑張っていこうと思っています」

―――共感する部分などはありましたか?

千葉「レイドって頭を使って状況を作ってミスティアを追い詰めていくんですが、僕も恋愛に限らず色んな方法を考えるので、そういう考え方は似ているかもしれません。でもその戦略が最終的にうまくいかずに行き当たりばったりになることが多いんですけど(笑)」

―――そして明音さんが演じるミスティアは、ちょっと複雑なキャラクターです。

明音「現実世界で自分が一度死んでしまって、その上で転生したのがやっていたゲームのしかも悪役令嬢だった……。とても複雑な心境の中始まるので、前世の部分の感情は大切にしたいですね。そして転生後は波瀾万丈で男性がどんどん迫ってくるので、自分の芯はしっかり持ちつつ、いびつな愛を持った方々の愛情や思いをちゃんと受け止められるミスティアになれたらいいなと思っています。
 “私がもし今死んでしまって、やっていた乙女ゲームのキャラクターになったら”を落とし込んでいけたらと。好感度を上げたくないのに裏目に出てしまうキャラクターなのでホントに難しいなと思いますが、気持ちを大事にして、でも私はこう生きたいという自我の部分は強く持っていたいです」

―――普段コスプレもされていますが、ビジュアル撮影はいかがでしたか?

明音「普段の活動では制服でスカートを着たことがあまりなくて、今回は女性らしいウィッグも被ってとても可愛らしい姿にしていただけたので、はやく皆さんに見ていただきたいです。女子の仕草を研究中です。もともと男装アイドルをやっていたので、立ち方や振る舞い方がちょっと男らしくなってしまうんです。女性に愛を囁いている立場だったので、囁かれることに対して免疫がなく、みんながどうくるのか楽しみです」

千葉「むしろ愛の囁き方を教えてもらいたい!」

―――千疋さん演じるエリクは、俺様キャラからミスティアに出逢い変わってしまうという、こちらもクセの強いキャラクターです。

千疋「大前提としてミスティアに救われているので彼女に対して絶対的な感謝の想いがあります。引きこもりだったのに一緒に街づくりをしたり、その中で愛が芽生えて。エリクは直球しか投げられないタイプで、ずっとストレートを投げ続けます。好きがはっきりしているタイプで僕とちょっと似ている気がしていて、衣装を着た時もしっくり来たんです。さらに共通点を見つけながら彼に寄せていけたらと思っています。早く衣装を着て稽古をしたいですね」

―――しかもミスティアの事を「ご主人」と呼びます。

千疋「初体験です! ご主人って言う人生は無かったのでドキドキもありますが、ナチュラルに言えるように役を落とし込みたいです」

明音「すでに気持ちが溢れている!」

千疋「誰よりもアプローチをし続けたいと思います」

千葉「それを僕がどんどん阻止します!」

明音「お待ちしております!」

オープニングは必見! 舞台オリジナルキャラクターも登場!

―――楽しみなシーンや見どころなどを教えてください。

 明音「悪役令嬢から今回生まれ変わった時のミスティアになる変化をどうやって見せることができるか、とても楽しみにしています。悪役令嬢っぽいところもあるそうなので、どれだけ嫌な奴から愛を受ける人間に変われるのか。ミスティアの内から出る優しさや、悪役令嬢ではない素の部分をどう魅せることができるかそこが気になりますね。
 あと乙女ゲームのOPはキャラの個性を前面に出すもので、このキャラを推そうと決める大事なシーンなのですが、舞台で皆さんがどう登場されるのか! ダンスもあるようなので、どんな形に仕上がるのかを楽しみにしていてください」

千葉「レイドはミスティアをどうしようもない状況に追い込んでいくシーンが多そうです。どれだけ自分の中で抱えながらそれを見せないようにレイドを演じられるか、そしてミスティアと2人になった時のギャップ、そこが見どころだと思っています。さらに制服姿も! 着こなせるかドキドキで(笑)」

明音「サンプルを拝見しましたけど、かっこよかったです!」

千葉「ありがとうございます。あとは他の攻略対象たちとの関係性ですよね。それぞれ得意な武器を持ってミスティアをとり合うので、そのあたりも面白くて楽しめる所ですしチェックして欲しいですね」

 ―――とてもテンポの速い会話劇でもありますね。

明音「そうなんです。文字数が多い多い!」

千疋「僕も似てしまいますが、会話の中でミスティアの心情の変化がめちゃめちゃ起こって、常に何かが起きている、舞台ならでは分岐点が見どころです。原作のシーンが舞台でどう描かれていくのか、冷静に喋っているのに内心バチバチしているとか、たくさんある面白い要素もどう描かれるのか、それらがこの舞台の魅力になったら嬉しいです。
 これから本番までどんどんブラッシュアップして原作のファンの皆さんに納得してもらえるような作品にしていきたいです」

明音「難しい時期ではありますが、大切な時間を使って観て良かったと思っていただける作品にしていきたいです。誠心誠意頑張ります!」

千葉「舞台でしか感じられない空気感があると思うのでぜひ観に来ていただきたいです。それぞれのキャラクターが持っている熱量が尋常じゃないくらい溢れています。それをリアルに感じてもらえるように挑みます。劇場でお待ちしております」

―――最後に作品にちなんで、もし戻れるとしたら、いくつくらいで、何をしておきたいですか?

千疋「僕はもともと女子高から共学になった高校に通っていて、男子が全校で60人くらいしかいなかったので市民権がなくて。サッカー部でしたがそんなにモテることもなく、僕は戻れるなら男子校に行きたかったです。そうしたらモテたかもしれない! この作品では本当に小さなことが、後々大きく変わっていますよね。」

千葉「僕は逆ですね! 僕は男子校だったんです(一同笑)。男くさい青春をおくってきたので、共学に通っていたら一体どんな学生時代だったんだろうと興味はありますね。もちろん男子校も楽しかったんですけど、ルートを選べるなら共学に行ってみたい」

千疋「本当に!? 女子から邪魔って言われるんですよ」

千葉「え!? それはキツイな」

明音「実は私も女子高で、共学に通いたかった気持ちはわかります!」

千疋「体育祭で他校が見に来て男子校はとてもモテていたんです」

千葉「あれ? 男子校だったけど、そういうこと無かったですね(笑)。マラソン大会ではゴール近くにダンボール神輿を仕込んでおいて一緒にゴールしたりとか、そういうことを全力でやってました」

―――女性にモテたい意識を一旦置いていた青春ですね。

千葉「それですね、一切無かったですね」(一同笑)

明音「高校では帰宅部で帰宅部のエースとしてとにかく早く帰る事を目標にすぐに家に帰ってゲームやイラストを描いていたので制服で遊んだ記憶が無くて。今になってなんでそんな貴重な時間にすぐ帰宅していたんだろうと。制服を着て遊んでみたかったですね」

千疋「ここ3人、恋愛作品の出演者として大丈夫ですかね(笑)」

千葉「だからこそ異常な恋愛コメディができるのかも!」

(取材・文&撮影:谷中理音)

プロフィール

千葉瑞己(ちば・みずき)
2月26日生まれ、宮城県出身。声優、俳優として活躍中。主な作品に、舞台版『Identity V/第五人格』シリーズ イライ・クラーク、饗宴『茜さすセカイでキミと詠う〜絆〜』高杉晋作、ツキプロ『infinit0』御風呂庵、『REALIVE!~帝都神楽舞隊~』藤堂豪一郎、『number24』玉城蓮、2022年1月より放送のアニメ『フットサルボーイズ!!!!』十河夏輝など。 

明音亜弥(あかね・あや)
1995年12月12日生まれ、北海道出身。2014年アーティストとして芸能活動開始。ヴォーカリストとして数々の賞を受賞。2019年〜2020年アイドルグループ「風男塾」の香月大弥として活動後は、女優・歌手・デザイナー・振付・イラストレーターやコスプレイヤーなど幅広い分野で活動中。近作に演劇の毛利さん –The Entertainment Theater vol.0 音楽劇『星の飛行士』、数々の舞台でヒロイン役を演じる。

千疋隼斗(せんびき・はやと)
1995年4月13日生まれ、福岡県出身。俳優、モデルとして活躍中。代表作に舞台『淡海乃海―声無き者の歌をこそ聴け―』、「REAMAIDEN」モデル、東京ワンピースタワー ONE PIECE LIVE ATTRACTION 『MARIONETTE』サンジ役など。

公演情報

舞台『悪役令嬢ですが攻略対象の様子が異常すぎる』

日:2022年2月16日(水)~20日(日)
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:S席 [前方席・特典付]7,500円
  A席 6,000円(全席指定・税込)
HP:http://www.tobooks.jp/koryakutaishoijo-stage/
問:TOブックス mail:info@tokyo-stage.com

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