SFでもファンタジーでもない、あなたの隣のいる人たちの物語 朗読劇から5年、ストレートプレイとして届ける『ノンセクシュアル』

 舞台『ノンセクシュアル』は本来、2020年に同会場で上演予定だったが、コロナ禍に直面し急遽朗読劇として配信。今回、当初の企画通りストレートプレイでの上演が決定した。演出を朗読劇に出演した鯨井康介が担当する。本作の新たな出発を前に朗読劇から役柄を変えて再び出演する松村龍之介とZu々・三宅優に意気込みを聞いた。

三宅「5年前は全ての準備が整っていた段階で、急遽朗読劇に変えて配信しました。スタッフ・キャストの皆さんが快く賛同し対応して下さり、観客の皆さんもストレートプレイとして売り出したチケットにも関わらず90%以上の方が朗読劇への切り替えを了承し、配信を観て下さったんです。朗読劇版には非常に満足していましたが、もう一度ストレートプレイとしてお届けしたいという想いが叶う機会なので、人類がコロナを克服できたから劇場へ集える機会を、私自身が楽しみにしています」

松村「全世界が体験したことのない事態に直面している中、朗読劇が出来たことは貴重な経験でした。この作品に役を変えてまた携われるのが嬉しいです。当時、LGBTQや多様な形の愛があることは知っていましたが、ノンセクシュアルやアセクシュアル、恋愛感情はあっても性的欲求を持たないという人たちのことは全く知らない状態で。あれから僕の理解も深まり、人を愛することの素晴らしさと同時に難しさを知ることができたので、作品を通してより深く体感していきたいです」

三宅「原作は約30年前の作品で、キャラクターの職業などいくつか設定は変えていますが、根本は何一つ変えていません。“SFでもファンタジーでもなく、ノンセクシュアルの人もアセクシュアルの人も、あなたの隣に自然にいる人たち”という感覚を伝えられたらと思います。前回、松村さんが演じた富永秀樹は、まっすぐに人を愛しているゲイで、カンパニーの中で一番年下だった松村さんの一生懸命さがピッタリでした。そこから5年を経た今回、ノンセクシュアルの村山蒼佑をどう表現してくれるか楽しみです」

松村「自分の性的嗜好とは違う人物を演じるので、自分にない感覚と境地をこの作品を通して掘り下げていきたいです。朗読劇で蒼佑を演じた鯨井くんの演出ということで、彼が僕の蒼佑をどう感じるのかも凄く楽しみです。新井將くんとWキャストなので彼から得られる刺激も大きいと思います。ぜひ両バージョンをご覧頂けたらと思います」

(取材・文:橘 涼香 撮影:平賀正明)

プロフィール

松村龍之介(まつむら・りゅうのすけ)
岩手県出身。2.5次元舞台に多く出演。2016年、アニメ『残響のテロル』の舞台化作品にて初主演を務めた。舞台以外にもテレビや映画と幅広く活躍。近年の主な出演に、映画『秘密の花園』、『TOKYO,I LOVE YOU』、ワーキング・ステージ『ビジネスライクプレイ2』、舞台『刀剣乱舞』綺伝 いくさ世の徒花、『ハンサム落語』シリーズ、『東京カラーソニック!!』シリーズ、『権乱業火〜忠心と反心と〜』、NHK大河ドラマ『青天を衝け』、NHKドラマ10『大奥』など。

三宅 優(みやけ・ゆう)
“自分が日本語で観たい舞台”を基本コンセプトに、海外の舞台、国内外の映画・小説・マンガなど、ジャンルに拘らず選んだ作品を日本で<Zu々 プロデュース公演>として企画・舞台上演を行う。また、演劇だけに留まらず、映画・マンガ制作への協力など、多彩なジャ
ンルでの活動も行っている。主な作品に『Being at home with Claude 〜クロードと一緒に〜』、『Ye -夜-』、キネマ&キノドラマ『怜々蒐集譚』、映画『秘密の花園』など。

公演情報

舞台『ノンセクシュアル』

日:2025年2月7日(金)~12日(水)
場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
料:一般8,700円 
  学生[当日引換・枚数限定]3,900円
  ※要学生証提示(全席指定・税込)
  ※15才未満入場不可
HP:https://www.zuu24.com/non_sexual_2025/
問:Zu々 mail:zuu24.com@gmail.com

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