『進撃の巨人』、『20世紀少年』の脚本家が舞台を初プロデュース 女性K–POPグループにうごめく「才能と嫉妬の物語」

 映画『ザ・ファブル』を筆頭に、『進撃の巨人』、『20世紀少年』、『GANTZ』など、数々の人気作品の脚本を手掛けた渡辺雄介による初プロデュース舞台。4人組K-POPグループ『12MINUTES(トゥエルブ・ミニッツ)』は新メンバーを迎える。しかし、SNSにアップロードされた動画により出回り始めた、“黒い噂”がメンバーのみならず、ファンや事務所さえも巻き込んでいく――。

 これまで映像作品を中心にその才能をいかんなく発揮してきた渡辺が魅せる舞台は、どのような世界になるのだろうか。

 「今回の上演場所である、ブルースクエア四谷さんがリニューアルを機に行ったコンペがあって、そこに応募してみようというのがきっかけです。これまで手掛けた映像作品では男性のバディものが多かったのですが、いつか女性だけの話を書いてみたいと思っていました。最近、K-POPをよく聴いていたので、それも取り入れてみようと。映像畑の人間なので、どうしてもそれらしさは出てしまうのですが、内容や背景も含めて舞台だからこそ成立できる作品だと思っています」

本作で炙り出されるのは、K-POPグループメンバーの隠された過去と確執。そして表舞台に立つ者なら誰しもが抱く感情だという。

 「この作品は才能と嫉妬の話です。自分も脚本家としてデビューして20年以上が経ちますが、出来ることと出来ないことがわかってきて、ガラスの天井みたいなものにも気づきはじめている。そういう僕も含めて、エンタメに従事している多くの人間が思っていることをそのまま書いたという感覚です。逆に役者には潜在意識の中にあることを表現してもらうので、きついかもしれません。役者が表舞台に立つ人間を演じるのは、ある意味自分と向き合うことでもあります。そこに長台詞も加わるので、かなり負担が大きい脚本とも言えます」

 今後も脚本家に軸足を置きながら、定期的な創作公演を行っていくと、渡辺は語る。

 「現状、自分一人しかおりませんが、今回は劇団としての旗揚げ作品となるので、『渡辺雄介、女性の話も書けるんだな』と思ってもらえたら嬉しいです。ストーリーの構造やキャラクターよりも役者たちが頑張っている姿が見えやすい脚本になっています。400人以上のオーディションの中から選ばれた人間の、努力の結晶を観てもらいたい。舞台の良さは何といってもライブ感です。熱量のある作品にするので、ぜひ間近で体験してもらいたいです」

(取材・文:小笠原大介 撮影:立川賢一)

プロフィール

渡辺雄介(わたなべ・ゆうすけ)
2001年、早稲田大学第一文学部 演劇映像専修在学中に脚本家デビュー。以降、様々な作品に携わる。代表作に、映画『ザ・ファブル』、『進撃の巨人』、『ドラゴンボールZ 神と神』『GANTZ』、『20世紀少年』、ドラマ『フェルマーの料理』、『Dr. チョコレート』、『未満警察ミッドナイトランナー』、『ブラッディ・マンデイ』、舞台『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』、『アマネ†ギムナジウム』など多数。

公演情報

『×××になれなくて』

日:2023年10月18日(水)~22日(日)
場:ブルースクエア四谷
料:6,800円(全席指定・税込)
HP:https://12minutes.jp/
問:株式会社アプル mail:info@apple778.com

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