ピュリツァー賞受賞の名作を実力派キャストで上演 舞台初主演! 夫婦の喪失と再生を会話劇で描き出す

 4歳のひとり息子を亡くした若い夫婦の喪失と再生の道程を繊細に描き、2007年のピュリツァー賞に輝いた『ラビット・ホール』。主人公・ベッカ役を演じる宮澤エマは、本作で記念すべき舞台初主演を飾る。

 「とても素晴らしい作品で、私にとって大きなチャレンジです。お話をいただいたときは悩みましたが、これをやらなければ絶対に後悔してしまうと思い、決めました。ただ“初主演”という言葉を口にするとプレッシャーを感じるので、今はなるべく言わないようにしています(笑)」

 舞台は2000年代初頭のアメリカ。幼い息子を交通事故で失い、悲しみに暮れるベッカとハウイー夫妻に、ある日事故の「加害者」から手紙が届き――。

 「乗り越えたくても乗り越えられないほどの悲しみを体験したとき、人はどう日常を過ごしていくか。ベッカという女性の人生は息子の死によって壊れ、ベッカ自身のキャラクターも壊れてしまう。いわばこの物語はベッカの自分を探す旅でもあって、いくつものプロセスを経て違う人格になっていく。物語冒頭のベッカとラストのベッカとではまた違うはず。ベッカがどう変わっていくか、いろいろな可能性を秘めていて、じっくり構築していこうと思っています」

 演出の藤田俊太郎のもと、夫・ハウイー役には成河、ベッカの母を演じるシルビア・グラブと、実力派キャストが集結した。

 「成河さんは初共演ですが、遊び心があって柔軟性のある役者さん。私も遊びは大好きです。やっぱり舞台は化学反応が大切で、こうと決めてしまうより、可能性がたくさんあった方がいい。シルビアさんは以前も母親役でご一緒していて、とても信頼感があります。この最高のチームで臨めるのが本当に楽しみです。このチームならいろいろなアイデアを出し合ってお客様に届けられるのではないかと思っていて、稽古が始まったばかりなのに、もうワクワクしています(笑)」

 世界各地で舞台化され、愛され続けてきた本作。作品の持つ普遍の魅力をこう語る。

 「人間の真実に愚直なまでに向き合った作品だと思います。一つひとつの会話を通して物語が丁寧に紐解かれていて、胸を掴まれる瞬間もあれば、許しを感じる瞬間もある。前を向くきっかけというのは実は意外なところにあって、そこから彼らは最終地点にどう向かっていくのか。ぜひみなさんとその時間を共有できたらと思っています」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:間野真由美 ヘアメイク:髙取篤史(SPEC) スタイリスト:長谷川みのり)

プロフィール

宮澤エマ(みやざわ・えま)
11月23日生まれ、東京都出身。カリフォルニア オクシデンタル大学卒業後、2012年デビュー。主な出演作に、ミュージカル『日本の歴史』、『ウェイトレス』、舞台『女の一生』、ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2、ミュージカル『ペテン師と詐欺師』、『PIPPIN』、映画『記憶にございません!』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、ドラマ『罠の戦争』、NHK連続テレビ小説『らんまん』など。

衣装協力:ピアス 44,000円(Kalevala/問:kalevalashop.jp)

公演情報

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ラビット・ホール』

場:PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)
料:11,000円 ※他、割引あり。詳細は団体HPにて(全席指定・税込)
  ※未就学児入場不可
HP:https://stage.parco.jp/program/rabbithole
問:パルコステージ tel.03-3477-5858(時間短縮営業中)

インタビューカテゴリの最新記事