無血革命を果たした王国で、誇りを取り戻すための闘いが再燃 生バンドや芝居はもちろん、アクション満載の舞台が観客を虜にする

 鬼の一族である剣士・黒田伸介=シンスケ・K・コルソーを軸にした物語を毎年発表しているlove&rock☆show。今回は無血革命を果たし、オルメカ王国の公爵となったシンスケに新たな脅威が降りかかる。全作品の脚本・演出を担う原口勝が創り上げるのは、歌・アクション、そして生演奏による壮大なエンターティメントショー。作・演出の原口と、物語全体を通しての主役・シンスケに抜擢された賀集利樹、ヒロインの王女リサを演じる佐藤妃星に話を聞く。

―――これまでの歴史を振り返ると、物語がどんどん壮大に広がっています。昨年上演された『新月』- New World Order -。そこから今回の『月の裏側で』〜新月〜 へと、どんな物語がつながっていくのでしょう。

原口「前作の『新月』では和国の剣士・黒田伸介が王妃と王女を連れてオルメカ王国という国に亡命したところから話が始まりました。そして伸介はこの国の王女・リサに出会うのですが、彼女は伸介がかつて愛した女性・飛鳥に生き写し。実は生まれ変わりだったんですね。そんなリサとの愛に目覚めた伸介は、最下層の普民達が起こした無血革命に巻き込まれます。そしてその活躍の立役者となった伸介は、公爵の位を与えられ名前もシンスケ・K・コルソーと変わります」

―――そして今回の物語につながっていくわけですね。

原口「無血革命を果たしたシンスケとリサ、そして普民達は王家を象徴として残し、議会中心の君主制民主国家を建てた訳ですが、面白くないのは元士族達です。今回は元士族の誇りがテーマのひとつです。シンスケはそれに対抗しますが、別に権力や国家が欲しいわけではなく、ただリサを護りたいだけです。しかもリサから殺すなと言われているので、一切殺さずにです。結局、誰も彼もが『護る』話になっています」

―――なるほど、そんな展開ですか。昨年、賀集さんは物語の進行役でもあるブックマンでしたが、今作では主役でもあるシンスケを演じる事になりました。

賀集「このシリーズには2回目の参加ですが、新たな挑戦になります。前回のブックマンは、やっている間は夢中で気づかなかったんですが、台本を見るとせわしなく動いて出突っ張りの役でした。よくやったものだと思います(笑)。今回は物語の中に入り込んだシンスケという役ですから、すごく幸せですね。原口さんが温めてきた作品の中心人物として、作品を壊さないように出来ればいいかなとおもいます」

―――そして佐藤さんは初参加でヒロインという役柄です。

佐藤「嬉しいですね。台本を読んでみると王女だけど妹らしさも持っているキャラクターでした。現実の私は長女なので、妹の気持ちというものを想いながら読みました。前世を含めて長いリサの歴史を考えると、その一部に関われるのは光栄です」

―――原口さんがこの2人をキャスティングしたポイントはどこにありますか。

原口「前回初めてご一緒している中で、シンスケに合いそうだと思ったんです。前回『新月』でリセットした感じなので、新たな一歩を踏み出したいと思って賀集さんに託すこととしました。佐藤さんは物語の中のリサと年齢がぴったり合うし、イメージにピッタリ合っていたからです」

―――今回はミュージカルではないんですね。

原口「演奏は生演奏だし、前回ほどではないけれど歌もあります。それにアクションは多いです」

―――音楽が生演奏というのもいつも通りですが、よく考えると贅沢ですよね。

佐藤「以前AKB48で参加した舞台『マジムリ学園 -LOUDNESS-』が生演奏だったのですが、思わず演奏に気を取られてしまいました。今回はバンド編成なのでもっと迫力がありそうで、楽しみです」

賀集「贅沢ですよ。前回も生演奏を経験しましたが、オーケストラピットに隠れているミュージカルと違い、この作品はバンドも出演者みたいなものです。生演奏は魂が躍りますが、これは観に来る人もそうでしょう。音楽の力は演技にも影響してきますし、ともかく心強い味方です」

原口「僕は見ての通りロック好きで、メンバーはミュージシャンとの交流を通して集まった面々です。好きなのは80年代後半、エアロスミス、ガンズ・アンド・ローゼズ、メガデスとか。もっと古いディープ・パープルとかも……幅広く聴きますよ。ロックだけでなくジャズやポップス。さらにノイズ系とかね。まだスマホもサブスクもない時代ですから、レコード店に行っては聴いてました」

―――それにしても物語はどんどん拡がっていく気がします。

賀集「出演者であり、原口作品のファンの1人でもある僕は、元々ファンタジーが好きなのですが、原口さんが創る舞台は実在の歴史も織り込んでいるので、その辺りの知識がつくとさらにワクワクしてきます。ちょっと幕末の要素が入ったりね。だから歴史好きな人がご覧になると、それとつながる楽しみができると思います」

佐藤「私は歴史に詳しくないのですが、逆に新しい発見が沢山あるのだろうと思います。だから歴史をまなびつつ、舞台の中で新たな歴史を作りたいと思います」

原口「実は来年に予定している次回作も、さらに先まで出来ていて、そこで一段落になりますね。だから今作は後半の3部作の1作目という事になります。LOVE&ROCKの物語は世界が平和になるまで繰り返します」

―――では最新作を心待ちにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

賀集「まだまだ予断を許さない状況ですが、この舞台を観てもらうことで、心の活性剤にしてもらえれば良いなと思います。少しの間日常を忘れ、この壮大な世界をご覧ください」

佐藤「グループの外に出てする仕事は3年振りなので緊張していますが、皆さんと一緒に素晴らしい作品を創ってお届けするのが楽しみです。1人でも多くの方にグループのことが知られるように、頑張っていきたいです」

原口「love&rock☆showは生のライブをお届けしますし、劇場で体験するために作りますので、是非劇場においで下さい」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

原口 勝(はらぐち・まさる)
鹿児島県出身。東宝芸能を経て、2006年、劇団Nine☆Starsを旗揚げ。2009年よりエンターテイメントBAR「Stars」の運営を行いながら、主宰・脚本家・演出家・俳優として活動している。

賀集利樹(かしゅう・としき)
兵庫県出身。2001年に『仮面ライダーアギト』で主役に抜擢され、俳優デビュー。その後『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日系)、NHK大河ドラマ『義経』に出演。ドラマだけでなく、舞台やバラエティー番組などにも精力的に出演している。

佐藤妃星(さとう・きあら)
千葉県出身。2013年、AKB48第15期研究生オーディションで研究生となり、翌年には正規メンバーに昇格。2015年の「春の人事異動」でチーム4に所属することとなる。いくつものAKB48劇場公演に出演をしている。

公演情報

love&rock☆show
『月の裏側で』 ~ 新月~

日:2022年11月23日(水・祝)~27日(日) 場:六行会ホール
料:S席8,500円 A席7,500円
  B席6,500円(全席指定・税込)
HP:http://www.loverockstars.net/
問:LOVE&ROCK
  公式HP内(お問合せフォーム)よりお問い合わせ下さい

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