日本唯一のニジンスカ版、12年ぶり待望の再演! 農家の娘 リーズとコーラスの恋の騒動を明るく陽気に描く

 NBAバレエ団が、この夏ニジンスカ版『ラ・フィユ・マル・ガルデ』を12年ぶりに再演! 主演のリーズはダブルキャストで、勅使河原綾乃と野久保奈央の2人が初役で抜擢されている。

勅使河原「まず初演の映像を観ましたが、凄く楽しい作品で、キャラクターが生き生き描かれている。作品の持つパワーを強く感じたし、私自身そこを大切にしていけたらと思っています」

野久保「技術はもちろん演技も求められる役柄で、周りのキャラクターとの関係性も大切に表現できたらと考えています。初演キャストの峰岸千晶さんが直接指導して下さっていて、とても貴重な経験になっています」

 ニジンスカ版をレパートリーに持つのは国内では同団のみで、農家の娘 リーズとコーラスの恋の騒動を明るく陽気に描き出す。

野久保「実際に踊ってみると振りが沢山詰まっているうえに速さもあって凄く難しい。ただ大変ではあるけれど、それがまた作品の持つ軽やかさや明るさにも繋がっているような気がします」

勅使河原「親子愛やコーラスへの揺るがぬ愛と、とても愛に溢れた作品だなと感じます。パートナーと一緒にいかにテンポ感良く場面場面を作り上げていくかが自分の中の挑戦であり課題。今回ゲストの二山治雄さんと組みますが、見とれてしまうくらいラインが美しい。相手役と言われた時はもうドキドキで、身の引き締まる想いで一杯です」

野久保「私は新井悠汰さんと組みますが、彼とは一緒に踊ることが多く安心できるし、全信頼をおけるパートナー。色々な作品を共に経て、踊りや気持ちが共有できているのを感じます」

 ニジンスカ版の新たな担い手として主演を務めリーズを踊る、その意気込みを両者に聞いた。

野久保「主役を踊るからにはダンサーとしても人間としても成長していかなければいけない。責任は大きいけれど、自分の性格とは違うキャラクターを演じられるのは大きな魅力でもあります。私のリーズと勅使河原さんのリーズもまた違うだろうし、お互いどういうキャラクター像を作っていくかというのを私自身とても楽しみにしています」

勅使河原「スタジオカンパニー時代、稽古場のガラス越しに千晶さんを見て憧れたのを覚えています。あの頃の気持ちを忘れずに、一日一日心で感じたことを本番までしっかり積み上げていきたい。そしてお客様の心がパッと明るくなるような舞台をお届けできたらと思っています」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:山本一人(平賀スクエア))

プロフィール

勅使河原綾乃(てしがはら・あやの)
埼玉県出身。3歳より松井・日比野バレエアカデミーにてクラシックバレエを始める。07年よりエプリバレエスタジオにて榊原有佳子に師事。11年ABT SUMMER INTENSIVEに参加。12年BallettschuleBenedict Manniegelドイツに2年間留学。15年NBAバレエ団入団、20年ソリストに昇格。主な出演作品に、『くるみ割り人形』(クララ)、『白鳥の湖』(パ・ド・トロワ/四羽の白鳥)、『海賊』(オダリスク第3ヴァリエーション)、『The River』(ボーテックス)、『コッペリア』(ホリー)、宝満直也振付『狼男』など。

野久保奈央(のくぼ・なお)
山口県出身。5歳より黒田節子バレエスタジオにてバレエを始め黒田節子、橋口彩子に師事。バレコン福岡シニア 第1位、北九州&アジア全国洋舞コンクール 第1位、全日本バレエコンクールジュニア 第1位。16年、NBAバレエ団公演『Director’s Selection』にゲスト出演し、『ブルッフヴァイオリン協奏曲』のピンクカップルを踊る。18年アーティストとしてNBAバレエ団に入団し、21年ファーストソリストに昇格。ヨハン・コボー版『シンデレラ』では主役に抜擢される。その他の出演作品に、『くるみ割り人形』(クララ/ラタトゥイユ)、『白鳥の湖』(パドトロワ)など。

公演情報

NBAバレエ団 ラ・フィユ・マル・ガルデ

日:2022年7月9日(土)・10日(日)
場:新国立劇場 中劇場
料:S席12,000円 A席9,000円 学生席[25歳以下]3,000円 ※要学生証提示(全席指定・税込)
HP:https://nbaballet.org/ 
問:NBAバレエ団 tel.04-2937-4931(平日9:00~17:00)

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