久保田唱による新解釈で『三国志』の序章を描く 「劉備は“生きにくい人” 懐の深さも伝えたい」

 かつてない切り口で『三国志』の序章を描いた舞台『THRee’S』が、シアター1010にて上演される。初演時から大きな反響を呼び、スピンオフを経て2016年に再演。待ちに待った3度目の幕が上がるとあって、再演時に引き続き主役・劉備を演じる谷佳樹は目を輝かせる。

 「三国志がモチーフで、3人の義兄弟の話であったりと、『THRee’S』は“3”にまつわる物語なんです。だから千秋楽でもファンの皆さんに『3年後にお会いしましょう』とお話ししていました。実際は4年後になりましたが、コロナ禍を差し引けばほとんど3年と言っていいですよね(笑)。また劉備を演じられることが本当にありがたいです」

本作は『三国志』の名シーンを各所に散りばめつつ、独自の解釈やタイムリープ要素を盛り込んだ活劇となっている。谷も「『三国志』を知らなくても楽しめますし、知っている人も全く新しい感覚で観ていただけると思います」と太鼓判を押す。
 作・演出を務める久保田唱とは初主演を果たした舞台から続く縁で、これまで数多くの舞台を共に作り上げてきた戦友でもあるという。

 「久保田脚本の魅力は“時間”と“伏線”。『THRee’S』にも独特な話の組み立てがあって、観るたびに印象が変わるんです。物語全体を把握した上でもう一度観てみると『このときこんなリアクションしてたんだ!』、『ここがあのシーンにつながっていくんだ!』と新たな発見があるはず。謎解きを楽しむ感覚に近いかもしれません」

 また、谷は自らが演じる義将・劉備に関して「すごく生きにくい人だったんじゃないかな」と思いを巡らせる。

 「自分の思い通りに人を動かすのではなく、『こういう選択肢もあるよ』と提案してあげられる人だと思うんです。人によっては優柔不断に映るかもしれませんが、そんな懐の深さも劉備の魅力だと思っていますし、みんな一緒に歩んでいきたくなるのではないでしょうか。まだまだ未知数ですが、キャストの皆さんと一緒に新しい劉備像を作っていきたいです」

 前回の再演時は右も左もわからず「若さで押し出していた」とも語った谷だが、時を経た今、さらなるブラッシュアップに燃えている。

「ぜひ、自分の成長も見てほしいです。2度3度と観るごとに厚みを増していく物語を楽しみにしていてください!」


(取材・文:いつか床子 撮影:間野真由美)



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「『自炊』。外食が当たり前の日々でしたが自粛生活と同時に自炊を始め、そこから自炊ブームが続いています。「如何に食費を抑えながら美味しい料理を作れるか」が自分の中の自炊テーマです。あと、無洗米は手間も時間も省けて“神”です」

プロフィール

谷 佳樹(たに・よしき)
1987年6月8日生まれ、大阪府出身。2013 年に『婚活の達人』出演以降、舞台を中心に活動中。2016 年から2018 年にかけて2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』で長月夜役を好演し注目を集めた。血の通った繊細な演技と迫力ある殺陣に定評があり、観客からの信頼も厚い。
 舞台代表作に『信長の野望・大志』明智光秀役や『文豪とアルケミスト』志賀直哉役、『DARKNESSHEELS』ジャグラスジャグラー役などがある。2019年に1st写真集「谷素」を刊行、2020 年には自らクラウドファンディングで資金を募り『せっけんのソップとよっちゃん』で絵本作家デビューを果たすなど、ジャンルの垣根を超えた活躍を見せている。
 近年の出演作に舞台『ハンズアップ』、映画『神ミタイナ時間』。趣味は健康なもの全般。特技はサッカー・水泳・殺陣。

公演情報

舞台 THRee’S

日:2021年8月25日(水)~31日(火) 
場:シアター1010
料:S席[1階席] 特典付9,900円 特典なし8,800円
  A席[2階席]7,800円(全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/3s_stage 
問:舞台「THRee’S」お問い合わせ窓口 mail:3s.stage2021@gmail.com

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